「静」と「動」ふたつのテーマを持つコンセプチュアルな庭づくり

やわらかなアールを描いた３枚の白壁、同様の左官が施されたカーゲートが一体感を醸し出すエントランス。ゆるやかな自然石貼りの小路に足を踏み入れれば、緑鮮やかな木々と美しい芝生のお庭…。思わず深呼吸したくなるような景観が広がる島村様邸のエクステリアは、どこを見回しても心地良く、森の中を歩いているような寛いだ気分が味わえます。
ご先祖代々から受け継いだという敷地に一大決心の末、ご自宅を建て替えたというご夫婦。ご両親と二世帯で暮らすお住まいのお庭は「静」と「動」の二つのテーマに沿ってプランされました。
そのデザインは実にコンセプチュアル。お庭の中央には２つの玄関に向かって1本のカーブを描いたアプローチが伸びていますが、向かって左側は親世帯、右側は子世帯のライフスタイルに合わせてゾーニング。ご両親が住まう住居側の前は「静」の庭とし、広々とした天然芝に緑影を落とすサルスベリを植え、景色を楽しむ庭に。ご夫婦が住まう住居側は「動」の庭とし、アプローチやガレージ等、畑など…活動的な要素を集めています。それぞれが溶け合う、二世帯の暮らしに寄り添ったお庭が広がります。

曲線と直線が絶妙に溶け合った二つの顔を持つファサード

クラシカルなタイルと白壁のコンビネーションが上品な島村様邸のご自宅。この外観を引き立たせているのが、遊び心溢れる３枚のアールを描いた白壁です。リズミカルに配されたそれぞれの壁には、少しずつ隙間が設けられており、ほどよい風を通しつつ、視覚的にも圧迫感を軽減する役割も果たしています。お庭を見通すことのできるデザインのアイアン門扉を挟んだもう一方の門袖は直線的なフォルムの壁がたたずみ、凛とした雰囲気に。その一面に貼り合わされたマーブル模様のタイルが気品に溢れた景観を創り出します。足元には円弧を描いた天然の乱形石が広がり、曲線と直線が絶妙に交じり合う優雅なエントランスがご家族やお客様を出迎えてくれます。
一方でガレージ前に配されたのは、3台分の車を停めることのできるワイドで直線的なゲート。曲線の描かれたエントランスと対称的なデザインでありながら、同じ色味の左官材により仕上げられており、絶妙な一体感が感じられます。

森に足を踏み入れたような緑豊かな主庭と、家族だけが楽しめる隠れ家のような中庭

アイアンの門扉を開けた先に広がるのは、森の小路をイメージしたやさしい曲線のアプローチ。足を踏み入れると、さまざまな雑木の木立が爽やかに迎え入れてくれます。アオダモやシラカシ、ヤマボウシなど日本の里山を思わせる常緑・落葉の木々がたたずむ景色は、訪れた人を安らぎに導きます。一歩足を踏み入れれば、常に四季折々の変化を身近に感じさせてくれるでしょう。
さらに建物の裏手にまわると、ナツハゼやハイノキなど茶庭をイメージした中庭が現れます。こちらは室内からの眺めを重視し、前景と後景を意識した植栽配置に。風情のある樹形の木々、苔むした緑のやわらかな景観は暮らしの中に心安らぐひとときを与えてくれそうです。まるで隠れ家のレストランようなこの眺めは、ご家族だけが楽しめる特別な空間です。

自宅にいながら非日常感を味わえるドラマチックな光の演出

辺りが暗くなると、それぞれの木々に向けて芝生に埋め込まれた照明が点灯します。正面の曲線を描くアール壁にも枝葉の美しい陰影が外壁などに映り込み、ドラマチックな夜の庭を演出。照明によって浮かび上がる左官壁や自然石などの表情は日中とはまた違い、豊かな味わいが感じられます。広階段がゆったりと誘う玄関ポーチに向かっては、蹴上の下に配された照明がライン状に段差をライトアップ。艶やかで気品溢れるエントランスでご家族を優雅に迎え入れます。
中庭にもほのかな光が灯り、木々を幻想的に照らします。その心地良い眺めに身を委ねれば、一日の疲れもどこかへ飛んで行ってしまいそう。カーテンを開ければ、室内にいながら非日常感を味わえる景色がそこにあります。