アカネ科 ペンタス属 Pentas lanceolata (クササンタンカ属)多年草・常緑低木
暑い夏…庭仕事なんてやってられません!という方たくさんいらっしゃいますよね。ただでさえ、夏はたくさんの植物が開花を休んでいる時期なので葉っぱしかない状態の庭は、一見荒れているように見えてしまうことも。
大切にしている庭が寂しい状態だと気分も晴れませんよね。
助けてくれるのは、手間がかからずに、夏のあいだも次々と開花してくれる植物。その植物が、とても長いあいだ、ちょっとポイントを押さえておくと一年中花を咲かせ続けてくれるとなると、きっと植えたくなりますよね。
ペンタスは、アカネ科の多年草です。草本に分類されていますが、成長が早くて年内に草丈1mくらいになるものあります。それくらい大きくなるものは、草というより樹木のような枝が次々と展開します。そのためか、常緑低木とも書かれているんですよね。
暖かくなってきた3月から4月ごろになると、園芸店やホームセンターで苗が販売されるようになります。価格もお手頃なものがほとんどなので、試しに植えてみるのにもハードルが低くていいですよね。
ペンタスは、もともと暖かい地域原産の植物なので、低温には弱い性質ですが、春の終わりから初冬まで成長しながら長く咲き続けます。特に、蒸し暑い日本の夏にグングン元気に成長し続けて、そのあいだも旺盛に花を咲かせ続けてくれる植物は可愛らしくて頼もしいアイテムなんですよね。花びらがしっかりしていて、雨で傷みにくいのも嬉しい特徴です。
気温が下がってくると咲き方は鈍りますが、暖かい地域では12月ごろでも戸外で花を見ることができます。
枝分かれする、分枝の特徴も優れていて、花が咲くのを邪魔しないような枝の広がり方をします。そのうえ、枝が暴れることも少ないので、株の姿も見苦しくならないという優れものなんですよね。そのおかげで、こまめな剪定をしなくても大丈夫! 暑い夏のあいだ、つらい思いをして庭仕事をしなくちゃならない…なんてことから解放されますね。
ペンタスは、熱帯アフリカ、マダガスカル、アラビア半島原産で30種ほどが分布しているといわれています。花びらが5枚であることから、ギリシャ語で5を意味する「penta」に由来してペンタスという名前になりました。
一つの房に、星のような小さな花をたくさん咲かせます。一つの房に100近くあるのでは…と思うほど、ビックリするくらいたくさん咲いているときもあります。そんなたくさんの花を手まりのようにこんもりと咲かせるので、離れて見ると、まるで大輪の花が咲いているようにも感じられます。
和名の「草山丹花(クササンタンカ)」ですが、もともと中国から渡来して九州南部から沖縄などに帰化している木の仲間、山丹花(サンタンカ)という植物の花に似ていることからこの和名がつけられました。
そのほか、英名では「Star cluster(星団)」、Egyptian star flower(エジプシャン ・スターフラワー) ともよばれています。
真夏はとにかく花が少なくなりがちです。手入れを怠らない素敵な庭も、緑の葉っぱが茂って荒れているように見えることも。
その反対に、梅雨前に枯れてしまった一年草を片付けて、秋の園芸シーズンまで荒れ地のようになっている庭も少なくありません。
どちらの場合も、ご近所や訪れるお客様の目が気になりますよね。
緑が茂っている中や、荒れ地のような中でも、花が咲いていると、きちんと手入れされているという感じを伝えてくれます。
ペンタスは、花の形や大きさはあまり違いがありません。でも、色のバリエーションが豊富なので、それぞれの違いで印象の違うアレンジを楽しむことができます。お好みの色のペンタスを活用して、素敵な空間を演出してみてはいかがでしょうか。
インパクトのある寄せ植えや、落ち着いた印象のガーデン、可愛らしい雰囲気を出したい…などなど、好みやイメージもさまざまですよね。販売されている苗は開花している状態なので、選ぶときにイメージどおりのものを購入しやすいので便利です。それぞれ、趣きやイメージの違う庭や、寄せ植えの一鉢を演出することができるでしょう。
ペンタスは、水はけと日当たりと風通しが良いところが大好きです。成長が早いので、窮屈な鉢ではあまりよくありません。小さな鉢は水切れも起こしやすいので、買ってきたポットの3倍から4倍程度大きな鉢に植えましょう。このくらい大きめの鉢を使用するのは、こまめな植え替えなどの手入れをしなくても良いようにするためです。
庭植えなど、地面に植え付ける場合は、他の植物で込み合った場所を避けましょう。込み合った場所に植え付けると、ペンタスが成長して、他の植物を圧迫してしまう可能性があります。
ペンタスは、とても丈夫で、水はけさえよければあまり土の質もこだわりません。ただ、極端な酸性の土は避けましょう。初めて植物を植えるという方や、しばらく手つかずだった場所に植えたいという場合には、手軽に利用できる園芸用の土を利用することをおすすめします。
庭植えにする場合には、深め広めに植え穴を掘って水はけを良くしておきましょう!地面が硬くて掘るのが大変な場所などでは、盛り土をするとよいですね。地面より高く花壇を造るイメージです。盛り土にする場合、狭いと乾燥が早くてペンタスの生育によくありません。園芸用培養土をたっぷり用意して高め広めに盛り土しましょう。
園芸用の土にもいろいろありますが、その中で、ほとんどの園芸用植物を育てるのに適した土が販売されています。水はけと水持ち、保肥力などがいいようにブレンドされている培養土を利用すると安心です。花と野菜の土や園芸用培養土などが園芸店やホームセンターで販売されています。元肥入りと表記されているものを選びましょう。
園芸用培養土の中には、ブルーベリーの土などのように、特定の植物用にブレンドされた○○の土となっているものは性質が違うケースが多いので、間違えないように注意しましょう。
花が咲き終わって種がつき始めたら、込み合った箇所や寂しくなった箇所など、気になったところを少し切るくらいで綺麗な状態を保ってくれますよ。こまめな花がら摘みのかわりに、ちょっと切り戻しをしてあげましょう。
ペンタスは、生育旺盛で長い間たくさん花を咲かせてくれる植物です。肥料が切れると生育不良で花数が減っていきます。株元に緩効性(ゆっくりと長く効く)肥料を適量置いておきましょう。また、気温が低い時期には水やりの頻度も少なくなりますし、固形肥料が溶けにくくなります。月に2,3回、液体肥料を規定量に薄めて、水やりのタイミングに合わせてあげると安心ですね。
ペンタスは、肌寒くなってきた11月ごろも戸外で咲いている地域が多い植物です。暖地と呼ばれる地域では、12月でも戸外で咲いているほど花期が長く重宝されるアイテムなのですが、突然の寒波で一斉に枯れてしまうということも。
そのため、一年草扱いとして毎年植え替えるところも少なくありません。
でも、それではもったいない!ちゃんと冬越し対策をすれば、大きく育った株が翌年もたくさん花を咲かせてくれます。
ペンタスの耐寒温度は、5℃程度だといわれています。日中ポカポカ陽気だと戸外でもたくさん花を咲かせて元気にしているので、ついつい油断してしまいます。日中水やりをした日などに、突然の寒波で枯れてしまう…ということが多くあります。夜間10℃を下回る日が続きそうになったら取り込みの合図だと思ってください。
ホームセンターなどで販売されている、ビニールカバーの簡易温室を利用する場合、できるだけ寒風が当たらなくて日当たりの良い建物の南側が理想的です。コンクリートの床や地面に直接置くと、冷気に耐えられません。鉢スタンドや発泡スチロールの板の上に置くなどして冷気が直接当たらないようにしましょう。
ベランダの下など、上空からの冷気を遮ってくれる場所が最適です。
この画像は、無事冬越しをした3月の様子です。ちらほらと花も咲き出しています。
取り込む前に刈り込みはしないようにしましょう!葉っぱを残しておくことで、自分の葉っぱで冷気から自分を守ることができるからです。
ペンタスは、15℃程度あると一年中花を咲かせてくれます。室内だと、葉っぱも生き生きとした緑です。
日光の入る明るい窓辺に置いておくのが理想的ですが、蛍光灯の光でも補助的な役割をしてくれるので、生活空間であれば問題無いでしょう。
ペンタスの冬越しで失敗する原因は水やりです。ペンタスを無事に冬越しさせるためには、水をあげすぎないことです。言い方を変えれば、ギリギリの量だけ水をあげるようにしましょう。
土の表面が乾いて、葉っぱも萎れ気味になっていると、ついつい水をあげたくなりますが、ここは我慢が必要です。特に、戸外の簡易温室で管理している場合は、株自体が休んでいるので、極端に少なくします。月に2度程度、様子をみて株もとから少し離れたところが湿る程度あげるようにしましょう。
でも、室内の場合、暖房で暖かくて乾燥していることが多いので、もっと頻繁に様子を見ながらあげるようにしましょう。
部屋の中に取り込んだ植物に水やりをしたとき、どうしても鉢受け皿に水が溜まってしまいますよね。捨てるのも面倒くさいのでそのままにしてしまうこと…ありますよね。でも、ペンタスの冬越しにとって、これが致命的です。鉢受け皿の水は必ず捨てましょう。
鉢受け皿の水を捨てるのが面倒くさい!ので、あらかじめ鉢受け皿の中に鉢台を入れておくのが有効です。
鉢の下からポタポタと水が落ち始めたら水のやり過ぎです。鉢台があると、水のやり過ぎを防ぐことができますね。
鉢の下の空間もできて通気性もよくなるので、ペンタスの冬越しの成功率がグンと上がりますよ♪
100円ショップで販売されているので利用してみてくださいね。
ペンタスの冬越し、気をつけていても失敗することがあります。鉢で失敗した場合に備えておくと安心ですね。切り花で冬越しさせる方法をご紹介しましょう。
といっても、難しいことは何もありません。気温が下がってきたころに、普通どおりに切り花としてペンタスを瓶に挿しておくだけです。一月くらいするとどんどん根が出てくるので、毎日見ているのも楽しくなるかもしれません。
気温が低いあいだは、水もあまり替える必要はありません。月に1,2回程度、水道水で水替えするだけで大丈夫です。
気温や室温が低い場合には、透明の瓶が観察しやすくてオススメです。でも、日光が当たる場所や暖かい場所だと、透明の瓶では藻が発生しやすくなるので、ジャムやコーヒーの空き瓶のように遮光性の高いものを利用するとよいでしょう。
こんな風に切り花で冬越ししたものを、暖かくなってきた3月ごろ、鉢植えや庭植えにしてあげましょう。またグングン成長してたくさん花を咲かせてくれますよ♪
いかがでしたか?生育旺盛で真夏も活躍してくれる頼もしいアイテム。一年中花を楽しめるかもしれないペンタスの彩りのなかから、お気に入りの一株を咲かせてみてはいかがでしょうか。