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パンジー・ビオラ(三色菫)

スミレ科 スミレ属 一年草

冬のあいだも次々と可愛らしい花を咲かせ続ける!
彩りや風に揺れる様子が気持ちを軽やかにしてくれる一年草

冬は街路樹の葉っぱもすっかり落ちてしまって寒そうなうえに、街の色もグレーっぽい日が多くなるのでより一層空気の冷たさを感じさせませね。気分も晴れないから、ついつい猫背で足早になってしまう…という方も多いのではないでしょうか。

そんな足早に通り過ぎるなかでも、可愛らしい花を見かけたり、素敵な寄せ植えとの出会いでちょっと気持ちが軽やかになったこともあるかもしれません。そういう方はぜひ!お庭や玄関周りに、冬のあいだもずっと咲き続けてくれるお気に入りの植物を加えてみてはいかがでしょうか。

ガーデニングビギナーにオススメ!
お好みのイメージに合った景色を長く楽しめる

今まで植物を植えたことが無いから心配…と言う方も多いですよね。植物の世話は難しそうだし大変そう…という声もよく耳にします。でも、もしかして、その心配は ”実はとっても低いハードル” なのかもしれません。

幅広く活用されるパンジー・ビオラの魅力

とても丈夫で失敗が少ないので初心者にオススメ!

パンジー・ビオラは、ポピュラーな植物として親しまれているとおり、いろんな場所で目にしたことがありますよね。学校や公園、歩道の植栽などにもさまざまな場所で活用されています。寒さに強いので冬のあいだも旺盛に咲き続けます。一度植え付けたら、ほとんど手をかけなくても次々と花を咲かせてくれるのが、いろんな場所で活用される一番の理由かもしれません。

鑑賞期が長いので小まめに植え替えなくても大丈夫!

植物を植えると植え替えなどの手間がかかるのが悩ましいところですよね。パンジー・ビオラは、10月から5月ごろまで8ヶ月ほどもの長いあいだ次々と咲き続けます。この嬉しい特徴のおかげで、お気に入りの花を長く楽しめるだけではなく、寒い間の庭仕事が少なくてすみますね。

花色の豊富さがイメージを膨らませてくれる

無い色は無い!…と言われるほど豊富な花色のパンジー・ビオラ。三色菫(サンショクスミレ・サンシキスミレ)という名前のとおり、一輪の花にそれぞれ違う色の花びらを持っているものも色の組み合わせがたくさんあります。そのほか、単色のものやワンポイントのもの、魅力的な柄のものなどさまざま。

ニュアンスカラーと言われる淡くて不思議な感じの色合いのものや、黒や焦げ茶のようなダークカラーといった個性的なものも近年人気が高まってきています。こういう個性的なタイプのものが増えてきたおかげで、ますます庭のデザインや寄せ植えのイメージの幅を大きく広げてくれるようになりました。

花の形や大きさの違いも選ぶ楽しみのひとつ

昔ながらの大きさと形のまん丸くひらひらとした6cmくらいのパンジー。2cmもないくらいに小さな花のビオラなど、大きさもさまざまですが、ユニークな形のものも次々と新しい品種が作り出されています。


上の花びらがピョンと立ってウサギをイメージさせるタイプ


ウサギのタイプより花の大きさが小さなタイプ 商品名にネズミと付けられるものも


下の花びらの一枚がくるんと巻いて両脇の花びらがひらひらと大きな耳のような姿から、ゾウさんシリーズ

さまざまな植物との相性もバツグン!好みやシチュエーションに合わせた寄せ植えで変化を楽しんでみては?

庭全体をイメージどおりにデザインしたり手入れをするのは大変ですが、お気に入りの一鉢をお好みで仕立ててみてはいかがでしょう?特に、クリスマスやお正月などの季節のイベント用に作ってみるのもオススメです。

例えばこんなカンジのものも…


ハボタン(葉牡丹)が変化していく様子を楽しみに、濃いブルーのビオラを水のイメージでお正月用に作った寄せ植え


少し暖かくなったころ濃いブルーのビオラがたっぷり咲いて、立ち上がった葉牡丹と噴水のイメージに

玄関は、お客様を迎える大切な場所ですよね。カラフルなイメージ、スタイリッシュなイメージ、エレガントなイメージなど、好みもさまざま。例えば、その日に訪れるお客様のイメージに合わせた寄せ植えでお出迎え…というのも素敵な演出になることでしょう。

パンジーとビオラの違いって?

ところで、パンジービオラってどう違うかご存じですか?園芸店やホームセンターで目にするラベル、ちょっと気になった…という方も結構多いんですよね。

パンジービオラもどちらもビオラ(viola)という同じ属でほとんど一緒です。もともとは、ヨーロッパから西アジアに自生している一年草のトリコロル(三色菫)をもとに、1800年代イギリスを中心に品種改良が進められて、観賞用に大きくて華やかな花を作ろうと4cmくらいの品種が400種ほど作られました。その後もフランスやベルギー、日本でも品種改良が進められて、日本では10cmもの大輪の品種が作り出されました。

パンジーは、品種改良によって作り出された大輪の園芸品種の総称なのです。

少し前までは、花の大きさが5cmを超えるとパンジー、それより小さいとビオラ、という区別をされていたのですが、ここ最近ではそのラインもかなり曖昧になってきています。というのも、まん丸くひらひらとした花びらだけどちょっと小さめというものに『小輪パンジー』というラベルが付けられていたりと、専門家もあまりはっきりと区別しなくなってきています。

とはいえ、特徴に少し違いがあるのでお話ししましょう。

パンジーの特徴

パンジーは、ビオラと比べて花が大きくて茎が太めです。一つ一つの花をゆっくりと咲かせて花の数が少なめなのが特徴です。茎が真っ直ぐ伸びて一輪でも存在感があるものも増えてきているので、切り花やアレンジメントにも幅広く活用されています。

ビオラの特徴

ビオラは、パンジーと比べて花の大きさが小さくたくさんの花を次々と咲かせます。茎が細く旺盛に枝分かれするので、あっという間に花いっぱいになるものがほとんどです。8ヶ月ものあいだ、小さな可愛らしい花をたくさん咲かせ続けてくれるなんて嬉しいですよね。

草丈はどれくらい?

パンジービオラも、上に伸びるタイプと枝垂れるタイプとがあります。

小さいものでは草丈5cmくらいのものから高くなるもので30cmくらい。高く伸びるタイプのものは切り花にも向いています。枝垂れるタイプのものは40cmくらい伸びるものもあるので、ハンギングなどの吊り鉢で栽培するのも素敵ですよ♪

もっとたくさんの花を咲かせられるちょっとした一手間

パンジー・ビオラは、”とても栽培しやすい植物” とご紹介したとおり、ほとんど難しいことはありません。買ってきたポット苗をポットから出して土に植えて水やりするだけで、ちゃんと花を咲かせ続けてくれます。種から育てたい場合でも、土に種をパラパラッと蒔いて水やりしておくだけで芽を出して育ってくれる優れものです。

でも、せっかくお気に入りの苗を植えるのですから、もっと元気にたくさん花を咲かせたいですよね!ちょっとした一手間で、苗の生育をずいぶん良くすることができますよ♪

パンジー・ビオラを植えるときに気をつけたいこと

植物に合った土を選びましょう!

パンジー・ビオラを植える土は、水はけと通気性が良く、保水性と保肥性も良い土がベストです。なんだか矛盾した性質で難しそうにも思えますが、理想的な土が簡単に手に入るので安心してくださいね♪

用途に合わせてブレンドされた園芸用培養土が、園芸店やホームセンターなどで販売されています。草花用培養土花と野菜の土、といった名称のもので元肥入りと書かれているものを購入しましょう。

園芸店やホームセンターには、『ブルーベリーの土』、や『蘭用培養土』のように『○○の土』となっているものもたくさん置いてあります。それぞれ植物の性質に合わせて酸性度や保水性など調整してあるので、培養土を購入するときに性質の違う土と間違えないよう注意しましょう!

たくさん長く咲かせるには肥料も大事!

長い期間花を咲かせ続ける植物は、肥料が切れてくると花数が減ったり、葉が黄色く変色することもよくあります。元肥入りの土を使用した場合でも、1月ほどするとほとんど土に肥料分が残っていない状態です。

”肥料のあげすぎ” や ”肥料のあげかた” には注意して

苗を植え付けるときに、株元から少し離した場所に緩効性肥料(ゆっくりと長く効果がある固形肥料)を数粒置いておくとよいでしょう。このとき、株元に近すぎたり、葉っぱや露出した根に肥料が触れたままになると、肥料やという植物を傷める原因となるので注意しましょう。

気温が低くなってくると、固形肥料の肥料分が溶け出にくくなってきます。液体肥料を規定量に薄めて、月に1,2度あげるとよいですよ。

肥料が多すぎると、かえって株が弱る原因になることもあるのであげすぎないようにしましょう。

根の状態を確認してから植え付けて!

買ってきた苗を植え付けるときに、ポットから出したらまず根の状態を確認してみましょう。パンジー・ビオラは生育が旺盛なので、ポットの中でギュウギュウに詰まるほど根が育っている場合がたくさんあります。このまま植え付けても新しい根を出すことが難しいので、うまく花を咲かせることができなくなってしまうんですよね。

こんなときは、白く固まった根を土と一緒に手で取り除いてあげましょう。

根の周りを取り除く量ってどのくらい?

パンジーのように大きめの花の場合は1/3程度パンジーは、ビオラと比べて株の成長がゆっくりなので取り除く量はちょっと控えめです。

ビオラのように小さい花の場合は2/3程度ビオラはグングン成長するので大胆に取り除きましょう。


このあと植え付けると、どんどん新しい根を出して元気に成長してたくさんの花を咲かせてくれますよ♪

植え付けたら、たっぷりと水をあげましょう。

水も肥料と同じでやりすぎは禁物です!植え付けたときにたっぷりとあげたあとは、土の表面が乾いてから水をあげるようにしましょう。

どんなところで管理したらいいの?

パンジー・ビオラは、日当たりと風通しの良いところが大好きです。寒さに強いのでほとんど屋外で大丈夫です。

でも、雪や霜が厳しいところでお花を楽しみたい方は、ぜひ軒(のき)や庇(ひさし)の下や明るい窓辺でたくさん咲かせてくださいね。室内の場合、風通しが悪かったり温度が高すぎると、カビが生えたり、呼吸ができなくて弱ってしまうので、こまめに換気できるところがオススメです。たまには、天気の良い日中に外に出してあげるともっといいですね。

 リースならスペースが少なくても大丈夫♪

「軒下や室内の窓辺にスペースが無いから諦めている」という方も多いですよね。そういう方にオススメなのが、リース状のハンギング!

ワイヤーと椰子マットで出来た、丸やハートの形のものが販売されています。ビオラや他の草花と寄せ植えにして、玄関周りに吊しておくのも素敵ですよ♪

リース型ハンギングは、花壇やプランターに植えるのと違って水切れしやすいので、こまめに水やりすることが必要になってきます。ライフスタイルに合わせてチョイスしてみてくださいね。

花がら摘みと切り戻しでもっと綺麗にたくさんの花を

パンジー・ビオラは、咲き終わって萎れた花がそれほど見苦しくならないところもメリットなのですが、咲き終わると次々と種をつけるので種を育てるのにエネルギーをとられてしまいます。ここはやっぱり次々と咲く花を楽しみたいところですよね。こまめに咲き終わった花がらを摘み取ると、次々と花を楽しむことができますよ!

切り戻しってどれくらい残したらいいの?

花が咲いている最中だとなかなか切りたくないですよね。でも、切り戻しをすると枝分かれが促進されて何倍もの花を咲かせるようになるんです。思い切って切り戻しをしてみましょう!

パンジービオラと比べて生育がゆっくりなので、株の2/3程度残しましょう

ビオラをドーム状にこんもりとしたい場合には株の1/3程度残すと、グングン新しい枝を出して花いっぱいの株にすることができます。

でも、どちらも切り戻したらしばらく寂しい姿になってしまいますよね。花を残しつつ切り戻しをしたいという場合には、たくさんある枝の中から2週間おきくらいに半分ずつ切り戻す方法もあるので試してみてくださいね。

食品成分で虫除け対策をしましょう!

パンジー・ビオラは丈夫な植物なのですが、虫にとっても魅力的な植物です。気温が低いあいだは大丈夫だったのに、あたたかくなって気がつくといつの間にか虫がたくさんついていることも。特にアブラムシは困りものです。

家庭菜園やポタジェを楽しんでいる方や、小さいお子さんがいらっしゃる方の中には農薬は使いたくない…と思っている方も少なくないでしょう。それに、農薬を使ってしまうと、アブラムシの天敵のテントウムシもダメージを受けてしまいます。そこで、せっせとホースのシャワーで洗い流したり、ブラシでこすり落としたりと手間がかかって大変ですよね。

でも、嬉しいことに食品成分の虫除け対策商品が続々と販売されるようになりました。『食品成分』とラベルに書いてあるのを確認して購入しましょう。

パンジー・ビオラは種も魅力的

パンジー・ビオラの種は、おしゃれなデザインでその姿も魅力的なのですが、勢いよく弾けるときも楽しませてくれます。

もしかして! あなただけの品種かも?

近頃では、『個人育種家』といわれる方々が、たくさんの新しい品種を作り出されています。いろんな特徴のものを植えておくと、あなたのお庭でも、あなただけの品種の種を弾けさせるかもしれません。

スミレの仲間は種を勢いよく弾けさせるので、種を採取したい場合には早めに摘み取っておきましょう。茎を長めに摘み採るのがポイントです。

封筒など、深めの袋の裾をすぼめて瓶に挿しておくと、パチパチと弾ける様子も楽しませてくれますよ♪

*ビニール袋などで密閉させるとカビが発生する場合があるので注意しましょう。

種が全部弾けて採り終えたら、紙の封筒に入れて冷蔵庫で保管しましょう。8月頃に蒔くと、10月頃から咲き始めるパンジー・ビオラ。どんな花が咲くのか楽しみですね♪

暑い場所では蒔き時や置き場所に気をつけましょう

パンジー・ビオラの発芽適温は15℃~20℃、生育温度は5℃~20℃とされています。

8月、9月に種蒔きをする場合は、風通しの良い日陰に置いて夜の気温がしっかり下がるような場所で管理をしましょう。発芽するまで水切れをさせないように気をつけてくださいね。

種から育てて食卓の彩りにも♪

”エディブルフラワー”…ってご存じですか? 食べられる花という意味なのですが、パンジー・ビオラもそのひとつです。

観賞用に販売されているポット苗の中には、農薬や化学肥料が使われているものもあるので食べることは控えた方が良いのです。その点、自分で種から育てたら安心ですね。

自分で種から育てたパンジー・ビオラを、サラダやデザートに添えてテーブルを華やかに演出してみてはいかがですか?ベビーリーフのような食感でサラダにピッタリ!ふわりと漂う良い香りも華を添えてくれますよ♪

いかがでしたか?パンジー・ビオラと春に咲く球根植物やさまざまな植物とを組み合わせて、冬のあいだも軽やかに、そして冬から春への変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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