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植栽はお庭に植えて花や香りを楽しむだけではありません。植物は昔から人の視線や侵入を阻んだり、日光や強風を防いだりと様々な用途でも用いられてきました。ここでは、生活の知恵として根付いてきた植物の使い方をご紹介します。
 

目的に合った生け垣の設計法

生け垣はコンクリートブロックやフェンスなどの工作物とは違い、剪定や管理などに手間がかかります。しかし、季節による色や質感の変化など、工作物にはない魅力も感じられる存在です。
 
生け垣は、低木をそのまま並べて高さ50cmほどに刈り込んだものから、支柱を使って仕立てる高さ5mくらいの高垣まで、目的・用途に合わせて様々な高さに仕上げることが出来ます。例えば、敷地境界に区切りをつける程度の生け垣ならば、マサキやオオムラサキツツジ、ドウダンツツジなどの低木で高さ1.2m以下でまとめます。
 
隣人や通行人の視線を遮りたい場合は、カナメモチやイヌマキなどを使って1.5〜2mくらいの生け垣を作ると良いでしょう。人が乗り越えて侵入してくるのを防ぐ目的の場合、ニオイヒバなどを使って2m以上に仕立てましょう。冬の寒風を止める防風壁としての役割を持たせる場合は、シラカシやヤマモモなどを使って3m以上の高垣を作ります。
 
植栽間隔は、根の大きさに合わせるのが原則です。使用する樹種にもよりますが、おおよその目安は高さ1.2〜2mの生け垣で3本/m、高さが3m以上ならば1.5〜2本/mの樹木を植えます。支柱を立てる場合も考慮して、幹と幹の間を最低でも30cmは空けましょう。
 
樹種は、暖地ではイヌマキやカナメモチなどの常緑樹(半常緑)を用いるのが一般的ですが、寒地ではオオモミジなどの落葉樹を使う場合もあります。
 
樹木選択で注意したいのが、1本の樹姿で眺める場合と2〜3本/mくらいのピッチで寄せ植えして刈り込んで作る生け垣とでは、印象が大きく異なるということです。都道府県が運営する緑化センターでは様々な樹木で生け垣のサンプルを作っていることが多いので、不安であれば赴いて実際の生け垣を見て確かめてみましょう。
 

フェンスで生垣を作る

都市部では敷地に余裕がなく、緑地の幅があまり取れない場合も少なくありません。このような敷地では、生け垣の代わりにネットフェンスを立ててツル植物を絡ませると比較的薄い生け垣状の物ができます。
 
ツル植物は、先端が光を求めてどんどん伸びる性質があり、逆に日当たりの悪い下部は枝の伸びが遅い特徴があります。その為フェンス下部は、人の手でツルを誘引しないと透けてしまう恐れがあります。
 
ネットフェンスの目が細かいほどツルはよく絡みます。目のピッチが50cm角以上になる場合は、誘引しないとツルがうまく絡まないことがあります。また、日当たりの良い側は葉が茂るため、ある程度成長した後も適度に誘引・剪定をしましょう。
 
ツル植物はツルが絡むタイプと吸着根で壁面に付着するタイプとがあります。ネットフェンスにはカロライナジャスミンやスイカズラなど、絡むタイプを用います。
 
一方、古い洋館などで見かけるナツヅタやキヅタは付着タイプなので、ネットフェンスの生け垣には不向きです。ヘデラ類は付着と絡みの両方の性質を備えているため、ネットフェンスの場合は人の手で誘引すれば育ちます。
 

防犯機能を高めた生け垣

生け垣は、支柱の作り方や樹種の選び方で防犯機能を高めることが出来ます。支柱は、通常樹木の上と下をつなぐ布掛けタイプのものが多いですが、樹木と樹木の隙間から人が容易に通り抜けられてしまいます。代わりに装飾的に使われる四ツ目垣を支柱として取り入れると、支柱の網目が細かくなって人が通り抜けることは難しくなります。生け垣の高さは2m以上にしておけば容易には乗り越えて侵入は出来ません。
 
生け垣に使用する樹木によっても防犯性を高められます。例えば、ヒイラギモクセイやチャイニーズホーリー、ナギイカダなどは葉や幹に棘があり、人が触れると怪我をします。これらだけで生け垣を作っても、または他の常緑樹と組み合わせて足元に配植しても訪販機能を高めることが出来ます。
 

外周に有効な植栽デザイン

門、塀、垣、玄関などお庭以外の外まわりをコンクリートや金属などの無機質な材料だけで作ると、硬質な印象を与えます。樹木を効果的に配置することで、外まわりの印象はぐっと柔らかくなります。
 
門まわりに1立方メートル程度のスペースがあれば、樹高3m程度に成長する樹木を植えられます。綺麗な花が咲くハナミズキやムクゲ、香りの良いキンモクセイなどを植えると、季節を感じられるスペースになります。
 
道路側の門まわりに樹木を植えられない場合、道路から眺められる高さまで成長する樹木を門の近くのお庭側に植えると、樹木と門が一体になった印象を与えます。樹高が2.5m以上になるマツやシマトネリコなど、明緑色の葉を持つ常緑樹だと、門との一体感が得られやすくなります。
 
一方、門まわりに中高木を植栽できない場合、門柱や塀の外側足元に常緑低木を植えましょう。花の色や香りが楽しめるツツジやジンチョウゲがおすすめです。
 

樹木で広がるアプローチ

樹木を効果的に配置することで、狭いアプローチを広く見せることが出来ます。人は、直に目に入る目標物を実際の距離よりも近くに感じます。逆に、近くに視線が留まるものがあると、その後ろにあるものは後退して遠く感じるようになります。したがって、このような効果が得られるよう、樹木の位置によって視線を操作すれば効果が発揮されます。
 
玄関近くは、少し大きめの木を玄関に被さるように植え、その斜め手前にかなり小さい樹木を植えると、樹木のボリュームの大小で遠近感が生まれて広く感じます。玄関の中心は、門の中心から少しずらした位置に取るとより効果的です。
 
玄関近くに植える樹木は、横に広がりにくい落葉樹を中心に選びましょう。お庭のシンボルツリーにもなるので、ヒメシャラ、ナツツバキ、コハウチワカエデなど樹姿が美しいものや、花付きが良く季節感が感じられるものを選ぶと良いでしょう。
 

デッキは耐荷重に注意

地面に樹木を直接植えるスペースがない場所では、コンテナや鉢などを使ってベランダやデッキなどに植栽をデザインして緑を取り入れましょう。鉢はただ平坦に並べるのではなく、棚やスタンドを使って立体的に配置すると、植物がより映える空間になります。
 
日当たりの良いベランダやデッキは、南側のお庭と同じで陽樹と中庸樹から樹種を選びましょう。風が強い場合は、カエデ類などの風に弱く葉が薄い樹種は避けます。日当たりの悪いベランダは、陰樹や中庸樹から選び、風に弱いものは候補から除外しましょう。
 
鉢は土の面積が少ないため、鉢の側面から熱を奪われやすい特徴があります。風が強いベランダでは土壌が乾燥しやすいので、水やりなどの手入れが頻繁に必要になります。階高が高いほど風も強くなり鉢が倒れやすくなるので、鉢をしっかり固定しましょう。
 
デッキは、夏場もさほど高温にならないため、ベランダでもパネルタイプのデッキ材などを敷いた上に植栽します。取り外し出来るタイプを選ぶと掃除しやすいメリットがあります。
 
ベランダやデッキの植栽で問題になるのは、積載荷重です。土と植物が入った鉢や花壇は、想像以上に重くなっています。自然土壌は、面積1平方メートル、厚さ10cmほどで約140kgになります。これに植物の重量が加わると、200kg近くになります。ベランダなどでの植栽は、配置する場所がどの程度の荷重に耐えられるかを検討することも重要になります。
 

菜園をお庭に作るコツ

お庭の一角に菜園やハーブ園等を作ると、収穫を楽しめるお庭になります。菜園やハーブ園は、1平方メートルくらいの広さがあれば作ることが出来ます。菜園の土には肥料や腐葉土をたっぷりと混ぜ込みます。ハーブ園は、それほど肥沃にしなくても大丈夫です。
 
ショウガやミョウガ、ドクダミなど日陰で育つ野菜もありますが、ほとんどの野菜・ハーブは日光を好みます。野菜やハーブは通常の樹木と比べて成長が早いため、お庭が雑多な雰囲気になりやすい傾向にあります。レンガやブロックや枕木、クサツゲやマメツゲなどの常緑低木で、周囲をきっちり作り込んでおくと、お庭も整然とした印象になります。
 
菜園まわりは、手入れの度に土や薬で汚れます。レンガ舗装など、掃除がし易い仕上げにすると後々楽に手入れが出来ます。
 
野菜は虫が付きやすいので農薬を使うケースがありますが、植物の組み合わせで虫を寄せ付けない環境を作る「コンパニオンプランツ」という方法もあります。
 

中庭・坪庭はすっきりと

坪庭や中庭は、建物の奥まった部屋に通風や採光をもたらし住環境を改善する重要な機能を持ちます。これらは建物内部に最も近接したお庭であり、建物やインテリアに与える影響も大きいです。
 
坪庭や中庭に植える樹木は、面する部屋の天井高以下に抑え、開口部の中で景色が完結するよう小ぶりにまとめます。植える量は、開口部の半分以下を占めるくらいにします。樹種を多く植えすぎたり、灯籠や景石などの添景物を多数置くと、雑然とした景色になってしまいます。空間に余裕を持たせないと通風や採光が阻害されて湿りがちとなり、樹木が病・虫害に侵されやすくなります。
 
坪庭や中庭を四方の部屋から見えるようにする場合、どの部屋から主に鑑賞するかを想定して配色します。
和室に面する場合は、樹種にこだわらなくても灯籠や景石を置くだけで和風の雰囲気を作れます。
洋室の場合は、舗装に石やタイル、レンガ、砂利などを利用すると良いでしょう。砂利は、ブラウン系が最適です。玉砂利や白・黒の砂利だけでは和風の印象になってしまいます。石やタイルは千鳥格子状にするなど、整形や左右対称といった規則性を持たせて敷きます。花壇やコンテナも洋風に仕上げられる素材として有効です。
 
中庭の植栽は、樹木や土の搬入の際に部屋を通るので、家具などが設置された後では養生に手間がかかります。新築の場合は施工前に建築工事と調整することを心がけましょう。
 

屋上・屋根緑花で失敗しない方法

屋上や屋根に植栽する場合、土の積載荷重が問題になります。樹木の成長には、一般的に草花や地被植物20cm、低木30cm、中木50cm、3m以上の高木60cm以上の深さの土壌が必要になります。例えば3mの高木を植える場合、重さに換算すると土だけで800kgを超えます。さらにこれに樹木やコンテナの重さが加わるので、建物の構造がこれらの荷重に十分に耐えられるかを確認しておく必要があります。
 
建物の耐荷重により普通土壌が入れられない場合、普通土壌の1/2〜2/3程度の重量である人工土壌を用います。ただし人工土壌は風で飛ばされやすく、それによって木が倒れやすいので注意が必要です。コンテナの底面に金網などを敷き、その上に根を乗せてバンドで根を固定するか、ワイヤー支柱などで樹木の幹を固定するなどして樹木が倒れるのを防ぎましょう。土、低木、地被植物が風で飛ぶのを防ぐために、それらの上に飛散防止用のネットを被せると効果があります。
 
屋上や屋根は日当たりがよく風を受け乾燥しがちな場所なので、水分をあまり必要としない樹木で構成すると管理が楽になります。屋上庭園ならば、中香木にはタブノキなどの常緑広葉樹が向いており、葉が薄く乾燥に弱いカエデなどの落葉樹は適しません。地被植物は、セダムが乾燥に強く土壌の厚さをあまり必要としません。ただし、雑草の処理や施肥に手間がかかります。
 
また、屋上は暖地性の果樹や柑橘類の生育に適した環境と言えます。風が吹くことで虫がつきにくいメリットがありますが、大きな果実をつける樹木は実が下に落ちる危険を考慮して屋上からはみ出さないよう注意を払いましょう。鳥に採られたくない果樹はネットなどで防護することも考慮に入れましょう。
 
一方、屋根緑花ではシバが定番ですが、この他にも保湿性の高い土を使えば日当たりを好み乾燥に強い樹種であればほとんどが植栽可能です。ただし、屋根の上は日常的な管理が難しいので頻繁に管理が必要な樹木は避けたほうが良いでしょう。
 

壁面緑化は3タイプある

壁面緑化は大きく分けて、①地面から上方への緑化、②屋上などから下垂させる緑化、③土の代用物を壁面に設置した植栽の3タイプがあります。
 
①は、樹木の成長パターンを検討し、フェンスやロープなどの遊禁止材を用いるかどうかを決めます。ナツヅタやヘデラ類は、壁に吸着しながらツタを這わせる声質を持つため、自力で上がります。フジやアケビ、スイカズラ、カロライナジャスミンなどはツルを絡ませながら上がっていくので、壁面にワイヤーやフェンスを設置する必要があります。ワイヤーやフェンスは絡み付けるものならばどんなものでも大丈夫ですが、植物が成長する先端の部分は柔らかく弱いので、日射で資材が熱くなりすぎないものを選びましょう。
 
壁面全体にツタを這わせるには、根が十分に伸びるスペースが必要になります。このタイプは、建物下部全体に必要な土壌が確保できることが条件になります。
 
②と③は、コンテナや繊維マットなど土壌の働きをする部分のスペースが限られるので、一株で大面積を緑化できません。日光や風が当たりやすい壁面緑化は、乾燥が激しく常に水分が不足気味なので定期的な灌水が必要になりますが、十分な水分を確保しづらい②と③は乾燥に強いハイビャクシンなどが適しています。

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