門まわりやアプローチ、隣地との境界に設置されたフェンスなど、エクステリアは様々なゾーン、アイテムから構築されています。それらは常に風雨に晒され続けているので、経年劣化や破損などによるダメージでいずれ補修が必要になってきます。大きく壊れてしまったらエクステリア業者や職人を呼んで、補修や解体をしてもらう必要がありますが、小さな劣化や悩みではなんとなく業者に頼みづらいですよね。
ここではそんな小さな悩みとその解決方法を紹介していきます。プロに頼んだら数万円以上かかってしまうものも、ちょっと手間を掛けるだけで数千円で済んでしまう場合もありますので是非参考にされて下さい。また、新居のエクステリアを造作する際に予め知っておくことでデメリットを回避できるポイントもありますので、併せてお読み下さい。
門まわりの小さなケア
門まわりは沢山のアイテムやデザインが合わさってひとつの空間を構築しています。それだけに各部分で小さな問題が発生し、放っておくと蓄積された問題だらけの前庭になってしまいます。家の顔である門まわりを快適に保つためにも、是非普段からのケアを怠らないで下さい。
門扉やポールなどの金物の補修
毎日のように使う門扉や道路境界に沿って取り付けたポールやフェンスなどの金物商品は、経年劣化や自転車、ボールなどが当たる事で小さなキズが付くことがあります。木目調のラッピング形材など見栄えがするものだと、キズがついて下地の金属が見えてしまったら残念ですよね。
この場合は、各メーカーが出している補修ペンや補修液を使うと修復できます。補修ペンを使えば、擦れて出来たキズから大きく塗装が禿げてしまったところも塗るだけで簡単に以前のように美しさを取り戻します。メーカーによって色が微妙に違うので、必ず取り付けた商品と同じメーカーの補修材を使用して下さい。
1つのメーカーの中だけでも様々な色が出ていますので、補修材の色が違っていたらかえっておかしな色合いになってしまうので、キズがつくのを見越して工事の際に工事担当者に補修材を用意してもらうのもひとつの手です。
レンガに発生する白華現象
レンガで壁や花壇を作ると、後に必ず表面に白い粉のようなものが出てきます。これは白華現象といい、コンクリートやモルタルを使った場合必ず出てくる避けられない現象です。コンクリートやモルタルが固まる際に、水とセメントが化学反応を起こして水酸化カルシウムが発生します。
この水酸化カルシウムがコンクリート表面に集まり、空気中の二酸化炭素と反応して白く固まるのが白華現象の正体です。レンガやピンコロ石などは積む際に必ずモルタルを必要とし、このモルタルはコンクリートよりも水気を多く含んでいます。白華現象は水分が多いと発生しやすいので、レンガに多く白華現象が発生してしまうのです。
また、コンクリートで作った駐車場は一面同じ色ですが、レンガは茶色ですので余計に白華現象が目立ってしまいます。これがレンガに起こる白華現象が他で起きるよりも汚く見えてしまう原因です。
対応策としては、白華がまだ少ない場合はブラシなどでしっかりとこすって洗い流しましょう。頑固な汚れの場合は酸性の液体で中和します。サンポールなどの酸性の洗剤を水で10倍ほどに希釈し、問題の箇所に噴霧します。10分ほど待って浸透させたら、大量の水でしっかりと洗って流しましょう。植栽が近くにある場合は殖産を水で薄めたものやクエン酸を水で溶いたものを使うと安心です。いずれにしても、大量の水でしっかりと洗浄するのがポイントです。
塗り壁の汚れ
施工したばかりは白く美しい塗り壁も、時間が経つごとに黒く汚れてきてしまうと残念ですよね。この汚れももちろん原因があり、その原因に合った方法でケアすれば美しさを取り戻せるかもしれません。まずはなぜ汚れるのかを分析していきましょう。
一番の汚れの原因は雨による汚れです。雨とは以外に感じるかもしれませんが、雨の中には相当な量の汚れが含まれています。工場や自動車から出る排気ガスには硫黄や窒素などの化合物が含まれており、その排気ガスを含んだ雨水が壁に付着、乾燥することで黒っぽい筋状の汚れが発生してしまうのです。
経年劣化の汚れの正体はほとんどが雨によるものです。早いうちに対処すれば汚れも除去しやすいので、汚れてるなと思ったらすぐに行動を開始しましょう。汚れの程度によっては台所用洗剤でも大丈夫ですが、汚れが深刻な場合は塗り壁専用の洗浄剤を使って落としましょう。
また、綺麗な状態を長く保つために、掃除の後はコーティング剤を塗って塗り壁の表面を保護しましょう。この一手間を行うことで、数年後大きな違いが出てきます。
隣地境界の小さなトラブル
せっかくのお庭なんだから自分の好きなようにデザインをしたい、そう思うのは当然ですが、隣地境界付近は多少デリケートに扱う必要があります。敷地内とはいえ、隣家に影響を及ぼすものを境界線のそばに造作すると思わぬトラブルに見舞われます。とても小さな不満でも、知らず知らずに長く与え続けているといつか爆発してしまうかもしれないので、最新の注意を持ってお庭の計画を立てましょう。
植栽の落葉、虫
植栽、特に落葉樹を植えたい方は隣地境界付近に植えると葉が落ちた際にトラブルを招くかもしれません。落ちた葉がお隣の敷地に入って汚してしまうからです。その他、根が大きく盛り上がる可能性のある樹種、枝が横に大きく生育する樹種も敷地の端に植えるのは避けたほうが無難でしょう。
虫の住処になりかねない下草の茂みも以外に注意が必要です。特に害虫の蚊はよく茂った草むらで休むことが多いので、日当たりの悪い鬱蒼とした茂みは格好の寝床になります。お隣さんが庭に植物を植えてから虫が多くなった、なんて思う方も出てこないとも限りませんので、お庭の植栽管理も決して気の抜けないポイントです。
フェンス
新興住宅地でよくあるのが隣地境界線上に共同でフェンスを設ける際のトラブルです。通常フェンスは自分の敷地内にブロックを積んでその上にフェンスを設けるのですが、どちらも新築の場合はまだフェンスを設けていないこともあります。(共同で作るためにこちらが引っ越してくるのを待っていたり、その逆のパターンもあります)話し合いがスムーズにいけば工事費折半でフェンスが手に入るのでいいのですが、フェンスと一言にいっても様々な種類がありますし、フェンスの重要度も違っている場合もあります。
こちら側からすればリビングルームに面する境界線だから、ブロックも高く積んでフェンスも目の細かいものを設けてプライバシーをしっかり確保したいけれど、あちら側からすれば家の窓も小さなものしかないし、そんなにお金を掛けたくないと思っているかもしれません。こうなると工事費が折半では不公平となったり、そんなにブロックを積む必要はない、フェンスももっと安いのでいい、などと拗れかねません。最悪、こちらはフェンスを特別必要としていないからお金は出さない、フェンスが作りたければそちらの敷地に勝手にどうぞ、となりかねないので、くれぐれも注意が必要です。
もちろん自分の敷地内ならばどんな高さのフェンスを設けようとも自由ですが、相手の敷地の採光や採風に影響を与える程のものを作ると、これもまたトラブルに発展してしまうかも知れません。
長く付き合っていくお隣さんなので、新規にフェンスを作る場合は相手の事情も考慮した上で計画を進めましょう。
※話し合いの結果、隣地境界線上に折半でフェンスを設ける場合は必ず間仕切りタイプのフェンスを選びましょう。裏も表も全く同じデザインならばトラブルにはなりません。
カースペース
コンクリートで構築するカースペースはやり直しがしにくい場所の一つです。やり直す場合は個人では解体できないので必ず職人を読んで解体工事をしてもらわなければなりません。そうならないように、完成後の生活をイメージしたデザインを心がけましょう。
コンクリートの表面の仕上げ方
コンクリートには2種類の仕上げ方があるのはご存じですか?金ゴテ仕上げと刷毛引き仕上げです。どちらが正解でどちらが不正解ということはありませんので、それぞれの特性を知り、好みの方を選ばれるといいでしょう。
金ゴテ仕上げは名前の通り、表面を金ゴテでツルツルに仕上げる手法です。メリットとしては第一に綺麗なことです。汚れも付きづらく掃除も簡単ですが、雨の日は滑りやすいデメリットもあります。
対して刷毛引き仕上げは表面を刷毛で引いて細い線状の模様を作る手法です。特徴は金ゴテ仕上げと正反対で、滑りにくく踏ん張りが効きます。デメリットとしては、細かい線があるので土の汚れなどが入り込みます。汚れの程度にもよりますが、掃除の際はデッキブラシとホースでしっかりと水洗いする必要があります。
以上の特性があるので、カーポートやガレージの有無によってコンクリートの仕上げ方を変えるのもひとつの手だと思います。雨で駐車場が濡れるならば安全面を考慮して刷毛引き仕上げに、カーポートやガレージで雨の被害を受けないのならば美観を優先して金ゴテ仕上げにしてみてはいかがでしょうか。
カーポートの有無
車を持たない家庭も増えている中、カーポートは以前のように必須アイテムではなくなりつつあります。ですが、今はいらなくてもいつかは欲しくなるかもしれない。その可能性が捨てきれないのならば、駐車場をコンクリートで固めてしまうのは早計です。もしカーポートを立てるならば一面コンクリートにするのではなく、カーポートの脚が立つであろうところを土のまま残しておきましょう。
もちろんそのままでは見栄えが悪いので化粧砂利などで覆っておけば見栄えもよくなります。そしてカーポートを建てた後は土の面を引き続き化粧砂利で覆ってもいいですし、サイズが合えばオシャレなレンガや自然石の平板でラインを作っても素敵です。
また、カーポートを設けるときは必ずオプションの補助柱も購入しておきましょう。補助柱は台風や積雪の際にしか使わないので不要と考える方もいますが、そんな非常時に唯一カーポートを守ってくれるのが補助柱です。数年前の大雪で広範囲に渡りカーポートが倒壊し、カーポートが一時的に市場から消える程のカーポート不足が起きたことがありました。
この事態は補助柱があった家庭では避けられた被害です。台風の際も同様に、補助柱が無いばかりに上下に激しくカーポートが激しく揺れて破損、さらに破損した屋根材がお隣の車に直撃して弁償、というケースもあります。
カーポート事態に災害の保証はなく、家の火災保険の付属物扱いになります。積雪で壊れたカーポートによって自車に被害が及んだら、こちらは車両保険の出番です。これらが起こるときは1件2件ではなく、大勢の家庭で一斉に保険の手続きを取るので保証を受けられるまでかなりの時間を要します。そんなストレスを避けるためにも、転ばぬ先の杖として補助柱はぜひ用意しておきましょう。
ヘアクラック
駐車場の角付近にある髪の毛ほどの細く小さなヒビ、それがヘアクラックです。ヘアクラックが起きる原因は様々ですが、基本的には経年劣化によるものが主です。コンクリートは実は収縮する素材なのです。温度によって夏は伸び、冬は縮みます。そうならないように鉄筋が内部に入っているのですが、細部にまではやはり影響が出てしまうのか、どうしても隅の方にはヘアクラックが生じやすいのです。(コンクリートの駐車場にスリットや伸縮目地が入っているのは、伸縮によるコンクリートの破損を防ぐためです)
気にはなるけど大々的な補修工事はしたくないヘアクラック、これはコンクリート補修用チョークで補修できます。問題の箇所にセメントを固めたチョークでなぞるように擦り付けると簡単に隙間を埋められるのです。色も数種類あるので、マッチするカラーを選べば一見しただけでは分からないほどにリカバリーが可能です。
主庭で快適に過ごすための小さなアイディア
ナチュラル志向の方は様々な植栽をお庭で育てると思いますが、自然のものを生育する以上悩みは尽きません。手入れが楽にならないか、元気が無いけど薬を与えるべきか、そんなよくあるちょっとしたお悩みを挙げていくますので、該当される方は是非参考になさってくださいね。
少ない手入れで美しい天然芝
自然の美しさが魅力の天然芝ですが、唯一にして最大のデメリットは定期的な芝刈りが必要だということです。なぜ芝刈りが必要なのか、それは一般的に流通しているコウライシバが縦に長く生育する性質だからです。このコウライシバに改良を加えて、手入れが楽な芝生として世に出たのが「TM9」という芝です。トヨタ自動車(株)が開発したこの芝生は、草丈が低く早く横に広がることで、芝刈りの頻度を極端に減らすことができ、肥料も従来よりも少なくするメリットがあります。
ホームセンター等で売っているコウライシバの半分の草丈という特徴と徹底した管理による高品質を買われ、ゴルフ場から名指しで選ばれるほどの一品です。デメリットとしては鳥取産なのと品質管理のために送料がとても高いということですが、芝敷設後のケアの頻度を考えてみれば、送料を払っても余りある恩恵を授かることが出来るので、天然芝派の方にはこのTM9をおすすめします。
移植した立木に薬は不要
お庭をリガーデンした際、立木を別の場所に移植することは多々あると思います。通常その際は根をある程度切って移動するのですが、移植後みるみる葉を落としていき枯死してしまうのではと心配される方もいらっしゃると思います。ですが、心配のいらないケースがほとんどです。根と葉の量は連動しており、葉は木の蒸散に必要な分だけ茂ります。根が土から水分を吸収し、全体に行き渡り最後に葉の蒸散によって水分が抜けていくのです。
移植の際に水分吸収の元である根をある程度カットしているので、その分木は自ら葉を減らして適切な量の蒸散をしようと試みるのです。これは植栽工事で職人がよそから持ってきた木を植える際も同じことが言えます。人間から見たら元気が無いように見えますが、ある程度根が元通りになれば時間を掛けてゆっくりと葉も茂っていくので、愛情を持って経過を観察してみてください。(もちろん病気の場合もあるので注意も必要です)
まとめ
知らないと不安に思うけれど、知ってしまえばなんてことないお庭のちょっとしたお悩みを紹介しましたが、いかがでしたか?取り付ける前に知ったことでデメリットを回避できたり、ちょっとしたアイディアひとつで簡単にリカバリーできるケースも多々あります。
プロをすぐ呼んで高いお金を払う前に、まずはご自身でお庭の症状を分析・ケアをしてみるのも一つのお庭の愛で方と思いますよ。ご自身の力でお庭の症状を回復した時、今まで以上にお庭に愛着が湧くのではないのでしょうか?