お庭を引き立たせるアイテムの一つにライティングがあります。ライティングと一言でいっても様々な形状やそれに沿った目的があり、お庭の各所で違うタイプのものが必要になってきます。ライティングを正しく活用すれば、お庭全体の魅力がアップするだけでなく、利便性や防犯性も飛躍的に向上します。
ここでは、世の中に沢山流通している人気のガーデンライトを分類・分析し、それぞれのメリットをお伝えします。新築の際のエクステリア工事では省かれがちなライティングですが、ライティングが充実すればお庭ももっと愛着が持てる空間になりますので、是非ともご検討下さい!
ガーデンライトの種類
門まわりを明るく照らし表札の視認性をアップさせるもの、アプローチを柔らかく控えめに照らして安全性を確保するもの、シンボルツリーを下から強く照らし夜のお庭を鮮やかに彩るもの、それらは全てガーデンライトですが、もちろんそれぞれ適材適所があります。
ここでは各ガーデンライトの特徴とお庭のベストポジションをお教えしますので、あなたのお庭に是非組み込んでみてください。慣れ親しんだお庭も、ライトひとつ取り入れるだけでひと味違った魅力を感じることが出来るでしょう。
門灯(表札灯、門柱灯)
門まわりの必須アイテムといえる門灯は夜の家の顔を照らす大切な存在です。利便性はもちろんのこと、デザイン性に優れたものが数多くあるので、どのような雰囲気のエクステリアにも必ずマッチするものが見つかります。
お庭で使うライトの光は穏やかな雰囲気をつくる暖色系が好まれますが、白や黒を多用したシンプルモダンな前庭なら、はっきりとした色合いの白色系を使うととてもスタイリッシュな印象になるので、ご自身のエクステリアのタイプに合ったものを選びましょう。
門まわりにあまりアイテムを多く取り付けたくないという方は、ライトが一体化した表札はいかがでしょうか。日中に見るとシンプルなデザインの表札も、夜になると彫り込んだネーム部分から光が漏れ、鮮やかな門まわりを演出してくれます。
ウォールライト
名前の通り壁に取り付けるタイプのライトです。笠と一体化したライトを壁面に取り付けるので、眩しさは感じず淡い光が壁やその周囲を優しく照らしてくれます。門灯としても活用でき、主張し過ぎない癒やしの光で夜の門まわりを優しく彩ることができます。
スポットライト状のタイプもあり、そちらのタイプは壁に垂直に取り付けることで上部、または上下に一条の光の線を作り出せます。そのままでもアーバンな雰囲気を作り出せますが、縦の線状に造作したガラスブロックのラインと組み合わせると更にスタイリッシュな空間を演出できます。
ポールライト
主にアプローチや主庭で活躍するポールライトは、様々な高さやデザインがあるのでまずはお庭の雰囲気にあったものを選びましょう。背の高いポールライトは障害物がないすっきりとした空間に配置すると悪目立ちしてしまうので、背の低いものを選び、逆に生け垣やレンガの花壇など造作物がある場合はつまずく危険があるのである程度背の高いものを配置しましょう。
設置方法は基本的にはコンクリートを使用した埋込み式ですが、一部の商品は場所の移動が容易なスパイク式もあります。ポールライトのベストな位置がわからない場合はこのスパイク式を用いて、光のベストポジションを見つけてみるのもいいかも知れませんね。
フットライト
足元を照らす目的に作られたライトで、主にアプローチや階段などで用いられます。壁に取り付けるウォールタイプと独立して取り付けられるポールタイプがあり、どちらも違った雰囲気が楽しめます。ウォールタイプは壁からほとんど出っ張らず動線の邪魔にならないので、細い階段や入り組んだアプローチ等ではおすすめのタイプです。
グランドライト(地中埋込み型ライト)
グランドライトは地中に埋め込むように取り付けて、上に向けて光を照射するタイプのライトです。形状の特質上芝生や土の面には取り付けられず、自然石やコンクリートで造作されたアプローチやタイルデッキ、ウッドデッキの床面に用いられます。
壁のすぐ近くの床面に設置して夜の壁を光で彩ると、その間接的な灯りが幻想的な雰囲気をプラスしてくれます。ライトも種類があり、ライトの角度を調節して任意の場所を照らせるタイプや、ライトに笠を取り付けて眩しさを軽減させるものもあります。
ガーデンアップライト(アッパーライト、スポットライト)
お庭のシンボリックな部分を照らすのに最適なガーデンアップライトはアッパーライト、スポットライトととも呼ばれています。光量は他のライトよりもあり、3m級の高木もしっかり照らして夜のお庭に光の芸術をもたらしてくれます。スパイク式のものが多くあるので、どの角度から木や造作物を照らすと最も美しく見えるか、試しながらベストな位置を探りましょう。
木のシルエットは夜のお庭に組み込むととても印象的に見えるので、家の壁に影を写して見せるのも夜のエクステリアを楽しむ一つの手法です。
マリンライト
元は船舶で利用されていたレトロな外観のライトです。レンガで造作した柱や門袖壁の側面にも取り付けられるデッキタイプ、壁の側面に設置して下部を照らすブラケットタイプ、パーゴラやゲートなど背の高い構造物から吊り下げて主庭を美しく彩るペンダントタイプがあります。
丸みを帯びた独特なデザインは根強い人気があり光を必要としない日中でも目を楽しませてくれるアイテムですが、クールな印象を主としたシンプルモダンのエクステリアではマッチしない場合もあるので、デザインに組み込む際は注意が必要です。
バーライト
小さなLEDライトを沢山用いてバー状のひとつのライトとして作られたライトは、その形状から様々な場所で利用が可能です。門袖壁を一部くぼませた所に取り付けて門灯にしたり、階段の側面に目立たないように取り付けて足元を照らすフットライトとして利用したり、円形のベンチに取り付けて曲線の光を表現したりと、あらゆるデザインにフレキシブルに取り入れられます。
スイングして光の角度を調節できるタイプやコード状になって曲げられるフレキシブルタイプがあり、フレキシブルタイプは10cm単位で増設可能になっているので、どんな長さの場所も対応可能です。
エクステリアにおける光の効果
光が与えてくれる効果は、用いる場所、光の強さや角度によって様々です。ここではお庭の各所でライトを取り入れることでどのような効果があるかを各エリアごとに説明していきます。何故お庭に光が必要なのか、その光がどんな恩恵をもたらしてくれるか、我が家のエクステリアに取り入れるべきか、一緒に探っていきましょう。
門まわり
門まわりにおけるライトの役目は大きく分けて2つ、防犯効果と安全効果です。泥棒は複数の家を比べた場合、入りやすい所から狙っていきます。どんなに堅牢な造りのクローズドタイプの外構でも灯りが門灯1つでは、その光を避けるように侵入してきます。視認性が落ちて死角が増える夜こそ、ライトを多用して死角を作り出さない工夫が求められるのです。逆に言えば壁のないオープンエクステリアでもライティングが充実していれば泥棒は近寄りづらくなります。
直接光を当てなくても、門扉や玄関、窓の近くには灯りが届くようなライティング計画をしましょう。(不安な場合は人感センサー付きのライトを心配な箇所、例えば死角になりそうな窓の近くや駐車場付近に取り入れましょう)
また、アプローチに階段や曲がり角がある場合は安全性を確保するために要所要所に足元を照らすポールライトやフットライトを設けていきましょう。これはご家族のため以上に、訪れるお客様のためでもあります。
門まわりのライティングは最低でも1つ、出来れば3つ以上が好ましいです。高さ、奥行きの違う光源で不等辺三角形を作るようにライトを配置すれば、夜の闇に包まれた動線を光が隅々まで照らしてくれ、奥行きと美しさを表現してくれるのです。
具体的にはまずアプローチには足元を照らす低めのポールライト、アプローチを進んだ先に見える門袖壁には人の目の高さと近い位置に門灯を配置、玄関付近にはシンボルツリーをアッパーライトで下から強く照射して木全体や家の壁をシンボリックに照らします。
こうすることで防犯性、安全性はもちろん、夜ならではの美しさを表現した前庭が完成するでしょう。(この法則はどんなタイプのエクステリアにもマッチしますので、是非取り入れていただきたいおすすめのライティング計画です)
主庭
癒やしをもたらしてくれるメインガーデンにはあまり強い光は似合いません。ピンポイントで強く照らすスポットライトよりは、周囲を淡く照らすマリンライトや、ウッドデッキやタイルデッキの床面にフットライトを取り入れ、人の目の高さから光源を遠ざけて配置すると、穏やかな雰囲気が生まれてリラックス効果が高くなります。
ホームパーティーや外での夕食として利用する場合はデッキ上のテーブルやガーデンファニチャーをスポットライトタイプのウォールライトやペンダントライトでしっかりと照らして使いやすさを確保しましょう。視界に光が近いことで活動的な気持ちになり、夜でも元気にガーデンライフを楽しめます。
また、屋内、デッキ、地面の3カ所を安全に行き来できるよう、足元、特に段差の部分をポールライトやバーライトなどで明るさをキープします。光源の増減によってご家族やお友達と能動的に過ごす庭や、ゆったりとした時間を一人で過ごす庭として表情を変えることが出来るので、どのような使い方をしたいかを認識した上でライティングの計画を進めましょう。
植栽
緑を魅せるということは、樹木や植栽をいかに上手に演出するかということです。シンボルツリーをライトアップすれば鉛直面の明るさを確保でき、安心感につながります。また同時に、上質な住宅づくりにもつながるでしょう。中庭やエントランスの植栽は、樹種や枝振りに合わせて照明器具やライティング方法を変えると、よりドラマチックな演出ができます。
樹種ごとのライティング方法ですが、ケヤキ・モミジ・ヒメシャラなど裾広がりの樹形、落葉樹は、四方から見える場合は枝の広がりに合わせてライトを3台、または2台使用します。複数のライトで幹にしっかりと光が当たるよう調整して照らすと、広がった枝葉がシンボリックに表現されて美しさが際立ちます。
クスノキや常緑ヤマボウシなどこんもりした常緑樹は、幹をほぼ真下から照らすのがコツです。光は枝の内側から漏れ出るように伸び、1台で十分木をライトアップできます。
モミの木やコニファー、スギなど円錐型樹形の針葉樹は、外側から斜めに照射します。こうすることですっきりとしたシルエットを夜の空間に浮き立たせることができ、スタイリッシュな印象になります。その時、スポットライトの光が住宅室内に差し込まないよう注意しましょう。
電源・照明色の種類、LEDのランニングコスト、見落としがちな必須アイテム
ガーデンライトの種類やお庭の各所に設置することで得られるメリットは既知の通りですが、その他にも知るべき・決めるべきことがあります。ガーデンライトには電気の供給元が大きく分けて3つ、光の色の種類は2つあります。
また今ではすっかりメジャーになったLEDライトの一月の電気代はいくらかかるのか、それらを知っておくことで、一体自分のお庭にどんなライトがいくつ必要なのかが試算できると思います。
電源・照明色のそれぞれの違い
まずガーデンライトはどのような電源から電気を得ているのでしょうか。代表的なのは100v、これは家庭の電源と同じ電圧なので、トランス(変圧器)の必要がなくそのまま家の外にある外部電源にコンセントを差して簡単に取り付けられます。ただ、100vのライトの場合は電気工事士による設置工事が必要になってきます。資格が無い人では取り付けは出来ないことになっているのです。
対してローボルト(12v)のライトは設置において資格が必要でないのでどなたでも取り付けが可能です。必要な物は電圧を変えるトランス、トランスから伸ばすコード(配線)、トランスからのコードとライトのコードを結ぶドライコーンだけです。(ローボルトライトを複数個、電源から遠くに設置したい場合は、コードを分岐させるジャンクションボックスが必要になります)また、感電や漏電の心配がないのも嬉しい特徴です。コードにお子様が触れたり、ペットが噛んで切ったりしたとしても、感電の心配はありません。
コストの面でこの2つのライトを比較した場合、同程度の明るさの100vライトに比べ、12vライトの方が消費電力が少ないです。一般的に12v20w(ワット)のライトの明るさは、100vでは40wから60wに相当するので、12vの方が経済的です。
3つめはソーラータイプのライトです。日中、太陽から得られる光で充電し夜に光るタイプのライトなので、配線すら不要で一番お手軽です。ホームセンター等で購入できるのも多いので、様々なニーズに対応可能ですが、蓄光製なので光量自体は弱く、また日陰や日照時間が短い場所では本来の明るさは得られないので一応の注意は必要です。
照明色は大きく分けて2つ、黄色系の色で暖かい印象の電球色と澄んだ印象の白色です。電球色は目に優しくリラックス効果があるので、植栽付近や主庭など柔らかい印象を持たせたい所に使うと効果的です。対して白色は電球色より明るく、光は遠くまで届きます。スタイリッシュなデザインウォールやタイルデッキなど、アーバンな雰囲気を醸し出すのにうってつけなので、シンプルモダンなエクステリアに最適の色でしょう。
LEDのランニングコスト
主な電球のタイプは白熱球、ハロゲン球、電球型蛍光灯、LED球とありますが、ここでは最もランニングコストのいいLED球の月々の電気代を試算していきます。
電気代の算出方法は、商品のw数(消費電力)/1000×点灯時間×27円です。
仮にメインガーデンの木々や下草を明るく照らして柔らかな雰囲気にしたいお宅の場合、0.24wのライトを6個、夜間8時間点灯させた時の1ヶ月の電気代は、
(0.24×6)/1000×(8時間×30日)×27円=約9円です。つまり6個ものガーデンライトを毎日お庭で夜の8時から明け方の4時まで煌々と照らしても月々10円以下の電気代で済むのです。LED球が一番電気代がお得なので、ほかの電球ではもっと電気代はかかります。そして電球の交換の必要もあるので、長い目で見ると電球の交換のいらないLED球が一番お得と言えるでしょう。
※メーカーによってLEDライトの寿命を10年と定めているのは、(株)日本照明器具工業会の技術資料134「白色LED照明器具性能要求事項」に倣い、光束が初期値の70%に低下した時を寿命と定めているからです。
隠れた必須アイテム・タイマー
最後に、複数のライトでお庭を彩るご家庭には必須のアイテムのタイマーをご紹介します。タイマーと言ってしまえば単純ですが、光センサーによってライトを自動で点灯・消灯させてくれるタイマーは必要になってくる重要なアイテムです。
これは外部電源とライトの間に1つ噛ませるだけで全てのライトに対応可能で、もちろん防水仕様のため、付けたら一切の手間や心配はありません。点灯時間は日没時間中はずっと光らせる場合、日没後◯時間を光らせる場合の2種類の変更が可能です。
唯一のデメリットとしては季節によって日没時間は異なるので、点灯時間を指定してセットしている場合は季節に応じてタイマーをセットし直す必要があることです。
まとめ
ライトひとつとっても、様々な種類や目的、役割があることをお分かりいただけましたでしょうか。日中見慣れたエクステリアも、光を加える事で普段とは違った印象になることは必須です。どんなタイプのライトがいいのか、月々いくらなのかとコスト面も分かったことで、ライティング充実の敷居は低くなったと思います。是非ライティングをお庭に取り入れ、夜のガーデンライフを明るく彩りましょう!