お庭での暮らしを一層楽しく彩ってくれるウッドデッキですが、ウッドデッキを作ったものの後に解体処分しているお宅も決してゼロではありません。望んで作ったものをなぜ処分することになるのでしょうか?実は原因は1つでないケースがほとんどです。解体処分に至るには様々な「小さな」理由があり、それらが積もり積もった結果、我が家にはウッドデッキはいらないという結論に達するのです。
「小さな」理由の中にはリカバリーが可能なケースから、正直言って手遅れなケースまであります。ぜひ、ご自身のウッドデッキに当てはめて考えてみてください。まだ検討段階の方はもちろん、もうすでに作ってしまった方まで必見のページです。
そもそもウチにはウッドデッキは必要なかった?足が遠のく庭
表題の通り、ウッドデッキは決して必要なアイテムではありません。もっと言ってしまえば、「お庭」さえも日々の生活にとっては必要ではないのです。ではなぜ、人は庭付きの家を欲するのか?それは「お庭」に癒やしと潤い、アクティビティ、家族との団欒の時間を求めているからです。つまり、お庭でしたいことがはっきりしているご家庭にこそ、ウッドデッキは必要なアイテムなのです。お庭でしたいこと、あんまり思いつかないなぁ・・・そんなご家庭ではウッドデッキは無用の長物となり朽ちていく一方です。
まずはお庭を魅力ある空間に変えることがウッドデッキ活用の第一歩です。簡単な工夫一つでお庭の魅力がアップし、リビングとお庭をつなぐウッドデッキの存在意義が増していくことでしょう。
まずは植栽をプラスしてお庭に出る目的を
ウッドデッキは新築と同時に作ったけどウッドデッキの他にお庭には何もなく、むき出しの土だけ・・・そんなご家庭も決して少なくはありません。新築や引越しのことで大変だったしお庭のことはしばらくしてから、ではいつまで経ってもお庭は殺風景のまま。まずは簡単な植栽で彩り、ウッドデッキをお庭とリビングを結ぶ中継地点として活用してみましょう。
ガーデンライフを楽しんでいるご家庭で、必ずあるのはシンボルツリーです。名前の通りお庭のシンボルになりえる大切な植栽なので、見栄えのするものを選びましょう。シンボルツリーはお庭のどこに据えても絵になりますが、ウッドデッキから近いほうがリビングからの眺めもよく、ウッドデッキ上から世話をすることも出来るので、近くに植えてみてもいいでしょう。もしウッドデッキの下部がコンクリートでなければウッドデッキを40cm四方ほどに繰り抜き、その穴に植樹すれば大変見栄えがし、ナチュラルテイストな雰囲気が味わえます。
植物に馴染みのないご家庭でよく挙げられる問題として、木を育てたことがないからうまく育てられるか不安、木って葉が落ちるから掃除が面倒くさい、などがあります。そんな方におすすめなのは、ズバリ株立の常緑樹です。その名の通り常に緑の葉をつけている樹種なので、サクラやモミジのように季節によって葉が一気に落ちることはなく、世話もし易い植栽です。(決して葉が落ちないわけではなく、コンスタントに日々少しずつ落葉します)
幹が1本太く生えている木立ではなく、細い幹が何本も生えている株立であれば枝や葉が風によって揺れてお庭に動きが生じ、シンボルツリー一本でもお庭の魅力がぐんと増します。近年ではソヨゴ、シマトネリコ、ハナミズキ、常緑ヤマボウシなどが、見栄えがして育てやすい人気の樹種です。
シンボルツリーを植えたら、次はむき出しの土をどうにかしましょう。お庭が土のままでは雨のたびに泥水が外壁を汚してみすぼらしくなるばかりでなく、雑草の脅威に晒されてしまいます。お庭の地面を簡単に覆う方法としては芝があります。芝は天然芝と人工芝がありますが、これはお好みでお選び下さい。天然芝、人工芝のそれぞれの特徴としては、天然芝は自然の風合いを楽しめる、手入れが必要、冬は枯れて白く変色するなどがあります。
人工芝はメンテナンスフリー、芝が長い短い・ゴルフのパター練習用など様々種類がある、7〜10年で交換が必要な場合があるなどです。
シンボルツリーや芝があるだけで、お庭の彩りは格段にアップし、お庭に出る機会も確実に増えていくことでしょう。
ライティングを完備してセキュリティ面と夜の雰囲気をアップ!
植栽を加えてお庭に色合いと目的を加えたら、次はそこに光を追加してみましょう。光を見ることで安心感や幸福感を得られる作用があり、光でお庭を照らすことで夜のお庭に鮮やかな美しさがプラスされます。
ではウッドデッキとライティングを掛け合わせるにはどんなライトがベストなのでしょうか。
まずは、ウッドデッキ周辺の足元をポールライトやフットライトで照らし、安全面を確保しましょう。足元の段差を光でしっかりと照らして移動しやすくすることで夜のお庭の活用の第一歩となります。
次に据え置き式や埋込み式のデッキライトでウッドデッキの床面を照らしましょう。足元の光や間接光のみにするなど、人に対して低い位置で照らすことで、足元の視界を確保しながらも、直接人が光を浴びることがなく、過度な明るさを感じないリラックスできる空間を作ります。夕食後のちょっとした時間をゆったりとお庭で過ごすなら、是非とも取り入れたいタイプのライトです。
友人家族を招いてガーデンパーティーをするならマリンライトやペンダントライトでウッドデッキの上部を照らしてみるのはいかかでしょうか。頭上から降り注ぐ光や壁面のライティングなど、高い位置から光を浴びることで、昼間の空間に近く、行動的な心理状態をつくります。食事やパーティーなどに最適な空間になることでしょう。
もちろん、ライティングは防犯面でも活躍します。お庭のライトをタイマーで自動点灯・消灯することで、毎日指定の時間になる度自動でお庭を照らし、防犯性をアップさせます。家が留守でもお庭が明るく照っているだけで心理的に泥棒の嫌がる空間を作り出せるので、設置の際は光量の低い蓄光性のライトではなく、ちゃんと強い光を出すタイプを選びましょう。
大事にしていてもどんどん劣化・・・材料選択の時点ですでにアウト
ウッドデッキはガーデニングや家族団欒の必須アイテム、毎日使っています!というご家庭もいることでしょう。大切なアイテムだからこそ、材料選びの時点からしっかりとこだわっていきたいですね。ウッドデッキの素材は大きく分けて2つ、天然木と人工木です。
人工木は天然木と違い朽ちることはないので、問題は天然木を選んだ場合です。天然木はハードウッドとソフトウッドと2種類あり、厄介なのはソフトウッドです。ここではなぜソフトウッドは厄介なのか、ソフトウッドでウッドデッキを作成してしまった場合の手入れの仕方をお教えします。
ソフトウッドが選ばれる理由と待ち受けている問題
ソフトウッドが選ばれている理由、それは安さと加工のし易さです。ホームセンターで売られている木材のほとんどがソフトウッドです。SPF、レッドシダーなどの樹種で知られるこのソフトウッド材は軽く、密度自体も低いため、ハードウッドに比べ劣化が早い段階で訪れます。何もしなければソフトウッド製のウッドデッキは1~2年で朽ち果ててしまいます。さらに、ホームセンターで売られているソフトウッドは辺材(樹皮に近い外側の部分)が多く、それも劣化のスピードを早めている遠因と言えます。
オールソフトウッド製のウッドデッキはどのように劣化していくのでしょうか。
まずウッドデッキ表面は、日光に晒され続けることで反り・ささくれができ、そこに雨水や虫が入り込んで密度の低い内部を侵食していきます。次に下部、表面からは見えないウッドデッキの縁の下です。下部は通気性が悪く湿気があるので、ソフトウッド製の束柱は腐食が一気に進みます。腐食が進んだ木材はシロアリの大好物です。その大好物はシロアリを呼び寄せ、更には家の内部まで食い荒らされる危険性も出てきます。
ソフトウッドで作ってしまったウッドデッキのメンテナンスの方法
我が家はソフトウッドでウッドデッキを作ってしまった、そんな方はメンテナンスが必要です。ウッドデッキは最初に塗装をしても日光や風雨によって経年劣化が起こっていきます。サンダルなどで歩いていれば細かい傷も付き、傷が大きくなればそこから雨水が進入する恐れもあります。年に一度必要な作業なので面倒かもしれませんが、ウッドデッキと長く付き合うためだけでなく家をシロアリから守ることにもつながるので、しっかりとメンテナンスをしていきましょう。
メンテナンスの手順ですが、まずはブラシがけを行います。ウッドデッキ全体にホースで水をかけて、デッキブラシなどで表面の汚れやホコリを落とします。
ウッドデッキの表面が乾燥したら、次はささくれや汚れの酷い箇所をヤスリや工具(サンダー)で研磨しましょう。
最後に塗装ですが、再塗装をする前にウッドデッキに使用している金物やウッドデッキに接しているサッシや家の壁面をマスキングテープなどで保護しましょう。塗料は基本的に最初に塗装に使ったものと同じ塗料を使います。塗装方法は塗料を雑巾に染み込ませ、雑巾がけの要領で行います。塗装後、乾くまではウッドデッキの上には乗らないようにします。大凡の目安としては、夏場なら12時間、冬場なら24時間は見て下さい。
基本的に再塗装は床面や側面など見える部分のみですが、可能であればウッドデッキの内部に潜り込んで、基礎部分も塗装したほうがベターです。もちろん塗装前には腐食の有無や白蟻の被害のチェックも行いましょう。
不便なのは「あれ」が足りないから!見落としがちな必須5アイテム
憧れのウッドデッキを手に入れたものの、いまいち使い勝手が悪い気がする・・・それは必要なアイテムが足りていないからです。「あると助かる」から「ないと絶対困る」まで、様々なニーズに応えたアイテムたちをご紹介します。必要に応じて少しずつ増やしていきましょう。
点検口
ウッドデッキを設置する際、ちょうどいい位置に雨水桝や汚水桝があると、後々点検掃除をする時に大変ですよね。そうならないためにも枡の位置に点検口を設けると、万一のケースも掃除がしやすくなります。また、鍵やカードなどがもしウッドデッキの隙間を通って落ちてしまった場合、通常だとウッドデッキの端から潜り込んで探すことになりますが、点検口があればそこまでの苦労もありません。
点検口はウッドデッキ造作の際に併せて作るのがベストですが、後からでも造作は可能です。任意の場所をカットして、板がバラけないように裏面に等間隔に複数枚の板を貼り付けます。あとは蝶番と回転式の取っ手を付ければ、使用時以外は邪魔にならない点検口が簡単に作れます。
床下収納
点検口をもっと大きく作れば床下収納の扉にもなります。スノーボードやタイヤなど、物置にはもうスペースがないけどどこかに保管しておきたいって大きなものはどのご家庭にもあると思います。こんな時はウッドデッキの下を倉庫として活用しましょう。
点検口の要領で扉を作れば、オリジナルの大きさの収納庫が簡単に作れます。非常時に必要になってくる防災グッズの保管場所としても有効ですね。
幕板またはフェンス
ウッドデッキの下部は実は猫にとっては格好の縄張りとなってしまうケースがあります。誰にも邪魔されない静かな空間、猫にとっては天国でも人にとっては動物臭くなってしまうので、入らせない工夫を施しましょう。侵入を防ぐ素材は大きく分けて2つです。
天然木派の方には、ウッドデッキの床板と同じ素材を側面に貼って幕板とするのがおすすめです。人工木製のウッドデッキを職人に作ってもらう場合はオプションで侵入防止用フェンスがあるのでこちらを選びましょう。後付も可能ですので、必要と感じてからでも遅くはありません。
防草シート
ウッドデッキを造作する際、絶対に見落としてはいけないのが、雑草対策です。どんなにウッドデッキが綺麗で豪華であろうとも、床板の下が雑草だらけでは不便が尽きません。雑草が生えるとそこは蚊やムカデなど害虫の住処にもなりますし、ウッドデッキの隙間から伸びた雑草が顔を出していたらなんともみすぼらしい印象です。なによりも、一度ウッドデッキが完成してしまったら、ウッドデッキの下に潜り込まないと雑草を駆除出来なくなってしまいます。
そんな後悔をしないためにも、是非ウッドデッキ造作前に雑草対策をしておきましょう。防草シートを敷く以外にもコンクリートや真砂土で地面を固める方法がありますが、この場所はずっとウッドデッキのまま!という方以外は防草シートの方がベターでしょう。もし数年後ウッドデッキを解体して別の使い方をする場合、地面がコンクリートでは余計な解体処分費がかかってしまいます。
スロープ
スロープは足腰の悪くなったご年配の方のためだけではありません。長年人気のトイプードルやチワワ、ダックスフントなどの小型犬にも必須アイテムなのです。人間にとってはなんてことないウッドデッキの段差も、小型犬の脚にとっては大きな衝撃とストレスになってしまいます。
ウッドデッキの上部からお庭にジャンプした犬が骨折してしまった、という報告も全国で少なくありません。そうならないためにも転ばぬ先の杖として、小型犬を飼っている方にはスロープをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか。あるあるから意外な落とし穴がたくさんありましたが、これらはどれもリカバリー可能なものばかりです。どの項目が当てはまっているか、またはこれから当てはまりそうかをよく見極め、早めの対応をしていけば、ウッドデッキはお庭の中心として長く愛用していくことが出来ます。ぜひ参考になさって、理想のガーデンライフを楽しんでくださいね!