コンテナガーデンという言葉を耳にしたことのある方は多いと思います。
それに、一度も目にしたことが無いという方はいらっしゃらないでしょう。
なぜなら、街中どこにでもあるものですし
あるのが当たり前の風景になっているからです。
コンテナガーデンって何?
コンテナガーデンというのは直接地面に植えるのではなく、
植木鉢やプランター、ハンギングバスケットなどの
資材(入れ物)を利用して
さまざまな植物を植えることをあらわしています。
ブロックやコンクリートで造られた花壇も
大きな入れ物という意味でコンテナガーデンなのです。
コンテナを利用するメリット
植物を植える目的やイメージはさまざまですね。
学校や庁舎のような公共の建物の彩りや学びの場所であったり、
病院や介護施設などでの癒しやくつろぎの場所である場合もあります。
また、高速道路の中央分離帯のように
機能性を持たせている場合もあります。
運転中の事故防止のため、
視界に変化を持たせて眠気をおこしにくくしたり
疲れを軽減して運転者の注意を持続させる効果があるとされています。
一般道でも、道路沿いに植物を植えてあるところもたくさんあって
街の雰囲気をつくっていますね。

機能性という意味では、
植物を植えること自体がその効果を期待できることです。
植物自体、
保水力や調湿機能、日光を遮って気温の上昇を防ぐなど
さまざまな機能をもっています。
ヒートアイランド現象
屋上緑化
など、耳馴染みのある言葉もご存じのことと思います。
植物を植えることで地温や気温の上昇を抑え、
電力消費を軽減することができるはたらきがあります。
夏のグリーンカーテンもそのひとつです。
また、土やコンクリートがむき出しのままだと、
直射日光の影響で地面が熱くなるばかりではなく
照り返しで建物も熱くなりますし
土埃りが舞うなど良くない環境といえます。
植物を植えることでこの悪い影響を抑えることができます。
レストランやホテルなどは、訪れる顧客に伝えたいイメージや
居心地の良さなどを演出するアイテムともいえるでしょう。
個人宅であれば、単に楽しむためのことが多いと思いますが
そこにも機能性を持たせて、より活用する方法がいくつもあります。
平面だけでは狭いと思われる場所や庭でも、
コンテナ(入れ物)を利用することで
地面には植えられなかった種類の植物を植えることができたり、
平面の数倍の量や種類の植物を植えることができるようになります。
植物それぞれの特徴に合わせて
植物の健康面でも良いことがたくさんあります。
植物の種類によって、必要とする環境がさまざま違うからです。
植物それぞれに、必要な水の量や肥料の配合の違い、また土の成分の違い
日照の量の違いなどがあります。
コンテナを分けることによって管理もしやすくなりますから
植物にとって快適な環境をつくってたくさんの花を咲かせたり、
長持ちさせることができます。

コンテナを利用して立体的に

また、コンテナを利用して立体的に配置することや、
狭い場所でも背の高い植物を植えることもできるようになるので、
隣家や通路との仕切りや目隠しに植物を利用できます。
コンクリートブロックでできた無機質な塀などを
植物を使用したフェンスに変える方も多いですね。
コンテナごとに違うイメージの寄せ植え
寄せ植えをつくって利用する場合にもコンテナは便利です。
コンテナごとそれぞれに違うイメージの寄せ植えをつくっておいて、
お正月やクリスマスといった時節などのイベントに合わせてや
普段の日でも訪れる人のイメージで配置を入れ替えたり、
表側と裏側をくるっと回して見せ方を変えておもてなしをするなど。
普段の切り花のような感覚で寄せ植えを楽しむと、
ガーデニングがより身近になるのかもしれません。
切り花のような気軽さと、
切り花よりも格段に長く楽しめるメリットもありますね。
〇 優しい同系色のものや 〇

〇 カラフルなものや 〇

〇 落ち着いた雰囲気のものなど 〇

園芸店などでも寄せ植えをつくって販売しているところが多くあります。
寄せ植えを作るのが苦手・・・という方でも
楽しむことができるのではないでしょうか。
季節によって花のある時期も違いますから、
花盛りの時期のものを表に出してそれ以外は別の場所で待機させておくなど
配置を変えるのに便利なのもコンテナのメリットです。
コンテナの種類、その長所と短所
陶器・磁器の植木鉢
陶器や磁器の植木鉢は輸入されているものも手に入りやすく、
可愛らしいもの、華やかなもの、重厚なものなどとても個性豊かで
魅力的なものがたくさんあります。

もちろん、日本古来の盆栽や蘭用の鉢なども趣きがありますし、
日本庭園や料亭などで見かける歴史を感じさせる鉢なども
とても魅力的です。
また、睡蓮などのように水の中で生長する植物を植えるための鉢も
多種多様です。
このような水を溜めておける鉢のことを、
水鉢(みずばち)や睡蓮鉢(すいれんばち)と呼びます。

植える植物のイメージや特性に合わせてデザインを選んだり、
先に植木鉢を選んでからそれに合わせて植物を選んだり、
楽しみもさまざまですね。
陶器・磁器の植木鉢の特徴
ひとくちに陶器や磁器、といっても製法によって特徴も違います。
例えば、
土を煉って簡単に焼いた素焼きの鉢は通気性に優れています。
鉢全体が、植物の根の呼吸や温度調節の手助けをしている
といえるでしょう。
夏の高温期などでは、
この通気性のおかげで水分が蒸散して気化熱となるので、
鉢の中だけではなく周りの温度も下げるはたらきをしてくれます。
その反面、壊れやすく植物の根張りの強さに負けて割れてしまったり、
冬季などは鉢の内部の水分が凍って砕けてしまうことも多いです。


一方、
堅く焼いてある鉢や磁器の鉢は、素焼きの鉢に比べて
通気性はあまり期待できません。
ちょっと金属っぽいともいえるでしょうか。
こういう鉢の長所は、格段に高級感と安定感があるところでしょう。
また、水分が蒸発しにくいので保水性が高いです。
その分過湿に注意が必要です。
夏の直射日光で急激に鉢の内部の温度が上がってしまうことが原因で
植物がことも考慮して対策をしておく必要があります。
特に陶器の植木鉢の場合、
強度を持たせる意味合いからも水抜き穴(鉢底穴)が1つで
鉢の底が平坦なものが多いです。


建物の周りがコンクリートなどで平坦なところも多くあると思います。
その上にこういう植木鉢を直接置くと
水はけや通気性が損なわれて植物にとって悪い環境となってしまいます。
さらに炎天下などの影響で地面の温度が極端に上がるので
植木鉢の中の温度も上がってしまうなどの影響を受けます。
こういう悪い影響を防いで排水性と通気性を確保するために、
鉢の下にブロックを置いたり
(この場合水抜き穴を塞がないように注意しましょう)
プランタースタンドなどで鉢の下に空間を作りましょう。

また、焼き物の鉢は本体だけで重量があるものがほとんどです。
土や植物が入るとその分も重くなって取り扱いが大変です。
プランタースタンドを利用する場合は
大きさや強度など適切なものを選びましょう。
大きい鉢などは後で動かすことができないことも多いので、
全体のイメージを固めてから置く場所を決めて
作業をすることをおすすめします。
鉢によっては掴みどころがなく滑りやすいものもあるので
注意が必要です。
プラスチックのプランター

園芸店などでもよく見かける、小さな花苗用のものから
野菜用のとても大きなものまで大きさもかたちもとても豊富です。

プラスチック製のプランターの特徴
プラスチック製のプランターの長所は、
なんといっても軽くて丈夫なので取り扱いが簡単だということです。
うっかり落としても割れることもありませんから安心ですね。
プランター自体が比較的軽いので、
寄せ植えなどの作業やポジションを変えるのに便利です。
また、側面からの水の蒸散が無いので
水持ちが良いこともメリットと言えるでしょう。
その反面、過湿になりがちなことと、
外気の影響を受けやすいという短所があります。
特に、真夏の炎天下などでは
プランターの内部の水分がお湯のようになってしまい
植物を傷めてしまう原因になることも多いです。
夏場の直射日光が当たる場所に置いておく場合は、特に注意が必要です。
ハンギングバスケット
ハンギングバスケットというのは、吊るすことができる籠(かご)のことです。
ハンギングバスケットの素材で多いのがヤシマットです。
これは、ヤシの繊維を成形してバスケットの形に合うように作られたものです。

ヤシマットのほかにも、最近では布製のものも市販されています。
このようなマットをワイヤーでできたハンギングバスケットに入れて
植物を植栽するのに利用します。
ワイヤーでできたハンギングバスケットのほかにも
スリットの入ったプラスチック製の容器にスポンジのシートが敷いてあり、
ヤシマットや布よりも保水性が高いものもあります。
プラスチック製のプランターに
吊るす用のフックがついているものも市販されています。
ヤシマットなどに比べると格段に水持ちが良いので、
最初はこちらから利用されると良いかもしれません。
ハンギングバスケットの特徴
これらの資材の長所は、格段に通気性と排水性が良いということです。
通気性が良いので、過湿が苦手な植物に最適な資材です。
根っこの呼吸を必要とする植物にとって、
高温多湿の日本で梅雨や夏越しをしやすくする方法でもあります。

また、高い位置に吊るしたり壁やトレリスに飾るなどして
目線を高くすることができるので華やかに演出することができます。
狭い空間でも立体的に利用できるので、地面だけに植えることに比べて
数倍の植物を植栽することもできます。
クリスマスシーズンなどは、リースを作る方も多いですね。
通気性と排水性に優れていることから水切れしやすいので要注意です。
忙しくて頻繁に水の管理ができないという方は避けた方が良いでしょう。
一旦完全に乾いてしまった土は水をはじいてしまう特徴があるので、
完全に乾いてしまった場合の水やりは時間がかかります。
完全に乾いてしまった場合、
水やりをしても土の表面を水が滑っていくだけだったり
土の隙間を通るだけで植物の根に水が回らないことになります。
完全に乾いてしまう前に水やりをしましょう。
それでも、真夏の高温時や風が強い日などは
予想以上に乾燥することもあります。
一日に2度、水やりをしないといけないこともあるでしょう。
中央までしっかりと水を行き渡らせる方法として、
深めの器やバケツなどに水を入れ
ハンギングバスケットをその中に浸けてしまいます。

このとき、植物まで浸けてしまわないようにします。
ハンギングバスケットの大きさにもよりますが、
2時間ほどでしっかり吸水させることができます。
そのあとは必ず水から引き上げることを忘れないようにしましょう。
夏場などの高温期は涼しい時間帯に行いましょう。
コンテナを選ぶ際の注意点
コンテナそれぞれに特徴があることは上記のとおりなのですが、
全体に共通する注意点を書いておきたいと思います。
大きさの違い
コンテナの大きさによって水持ちの良さに違いがあります。
小さいものほど乾燥しやすく周りの気温の影響も受けやすいですし、
根を張る力が旺盛な植物の場合でしたら
すぐに根詰まりを起こしてしまいます。
そういう意味で、
大きいものほど水持ちが良いので水やりの回数は少なくてすみますが
過湿にもなりやすいといえます。
買ってきた苗をいきなり大き過ぎる鉢に植えたらダメになってしまった、
ということの原因の一つでもあります。
数や広さの問題
鉢やプランターの数が増えると収拾がつかなくなった、
という方も多いと思います。
いろんなタイプのコンテナごとに管理をするのは労力がかかることです。
また、陶器の鉢など重いものがたくさん増えると
移動させたり入れ替えることは簡単ではありません。

魅力的な鉢などがたくさんあって、どれもこれも欲しくなりますよね。
植物ごとに似合った植栽に仕上げる喜びも味わえます。
けれど、増えれば増えるほど
庭全体の理想のイメージから遠ざかってしまうことにもなりかねません。
計画的に同じタイプの鉢を揃えたとしても、
重くて危ないので入れ替えるなどとは考えにくくなっていくでしょう。
ひとつひとつの鉢をそれぞれの花壇のようなイメージで
植え替えをして楽しむことになりますね。

また、花壇などでは広すぎて奥の手入れができなくなることや
足の踏み場が無くなってしまうなど荒れてしまう原因になりがちです。
そういう意味でも、
これからの将来的なイメージと照らし合わせて
庭をどのようにしていきたいのか・・・
ご自身のライフスタイルは・・・
などを考えながら
ぜひコンテナガーデンを楽しんでください。