「エクステリア工事の特殊性」とは?
エクステリア工事は、価格的には車に近い商品です。平均的な工事価格がちょうど軽自動車1台分から高級セダン1台分くらいですから、比較するのにはちょうどいいですね。車と比べることで、エクステリア工事の”特殊性”が見えてきます。
1.工事であること。
エクステリア工事は、手にとって触れることのできる商品(既製品)ではありません。つまり、「出来てみるまで分からない」「完成品を購入できない」ということです。
同じ工事でも、住宅のリフォーム工事とはここが全く違います。ユニットバスやキッチンのリフォームでは、事前にショールームで実物のお風呂やシステムキッチンを見た上で、それを自宅に設置してもらうことが出来ます。なので、既製品の購入とほぼ同じです。
しかし、エクステリア工事はそうはいきません。使う材料のサンプルを見ることが出来ますが、それが実際に使われたらどういう庭になるのか、というのは実は最後まで分からないのです。
でも、「綺麗な図面を描いてもらったから大丈夫!」と思われる方もいるでしょう。
綺麗な図面を描くことは、実はとても簡単です。
作図ソフトの性能が向上したため、パッと見て綺麗な図面をほんの数十分で作り上げることも出来るようになりました。しかし、その図面のままに工事を進めると・・・さあ大変。
あまりに貧相で使いにくく、ありきたりなエクステリアが完成することに・・・。
皮肉なことに、図面(CAD=キャド)の精度が上がったことが、エクステリア工事で失敗してしまう人を増やすことになってしまいました・・・。
ダイエットの広告みたいなものですね。
「ずいぶんデフォルメされていたのね・・・」と気付いた時にはもう手遅れ。
『実物を見ることが出来ない』ということを肝に銘じて、綺麗に見せただけの図面の内容をちゃんと見抜いてくださいね。
2.『完全フルオーダー商品』である。
エクステリア工事は、工事の規模や値段の高い・安いにかかわらず『完全フルオーダー商品』です。
なぜなら、まったく形やサイズの違う「敷地」と「建物」に合わせて、毎回内容の違う工事を行うからです。どんな簡単な工事であっても、この原則は変わりません。
考えてみると、完全フルオーダーの商品を買う機会ってあまりないと思います。
ここでは、フルオーダーでドレスやスーツを作る場面をイメージして考えてみましょう。
「高品質で低価格」というフルオーダーは可能なの?
”手作り”ということは、品質と手間は「比例する」ということです。手間暇かけて作るほど、いいものが出来るということですね。そのため、「品質が高いのに価格が安い」ということはありえません。
デザインがいい、作りがいいものは相対的に高くなります。
「大量に作って価格を安くする」ことは可能なの?
これも無理ですね…。
同じ場所で、数ヶ月〜数年にわたって行うような工事なら可能かもしれませんが、一般住宅のエクステリア工事ではそこまでの規模にはなりません。
「大量生産によるコストダウン」というのは、完全オーダー品であるエクステリア工事では当てはまりません。
3.「定価」が無い。
車には「車両本体価格」が必ず設定されています。
それに諸費用を加えたものが支払いとなる訳です。とても分かりやすいですね。
あとは、少しでも安く買うためにいくつかのディーラーをまわってより大きな値引きを引き出します。こうして、希望の車種、希望のグレードの車をお買い得な価格で手に入れることが出来ます。
また、全ての車種に「定価」が設定されていますから、予算の目途が簡単に付けられます。
欲しい車のおおよその値段が購入する前に分かりますから、資金を正確に準備することが出来ます。
しかし、エクステリアではこのような買い方が出来ません。
車両本体価格、つまり「定価」がないからです。
これはとても難しい問題です。家なら建物の大きさによっておおよその金額は予想できます。『坪単価』という目安があるからです。ローコスト住宅なら30〜40万円/坪、高級住宅なら60〜80万円/坪、となんとなくイメージすることが出来ます。
しかし、エクステリアは『完全オーダーメイド』ですから、注文する方(お客様)によって費用が全く違います。
「いくらかかるのか?」の判断が非常に難しいのです。
こうして、準備していた費用と実際にかかる費用に相当な開きが出てしまう、という事態に陥ることになります。
「自分たちが理想とする
エクステリアを作るとしたら、
一体いくらかかるんだろう?」
4.「工事範囲」が曖昧なこと。
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「水道工事は出来るのかな?」
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「玄関のタイルの貼り替えも頼めると思う?」
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「古いウッドデッキの解体は出来るかな?」
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「電気の配線は?」
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「物置は誰に頼めばいいの?」
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「ガレージは無理だよねぇ…」
お客様にとっては「どこまでお願いしていいのか?」が非常に曖昧なのです。
確かに上記のような工事を全てやってくれるお店ばかりではありません。植木などの「造園業」が中心で、「工事」はあまり得意ではないお店、またフェンスやカーポートなどの「金物工事」は得意だけれど、石を敷いたりタイルを貼ったりする工事は出来ない、というお店もあります。しかしそういう情報はお店の案内やホームページには書かれていませんので、話を進めていくうちに徐々に明らかになっていきます。これではどうしていいか頼む方も困ってしまいます。
当店の「エクステリア工事・外構工事の定義」
門や塀、フェンスやブロック積み、物置やカーポートなど、敷地内に設置される『住宅以外の全てのもの』を指します。そこにはポストや表札などの小物や、芝生や植木といった「造園工事」、ライトアップに伴う「電気工事」水道管の敷設や汚水マスの交換などといった「水道工事」までも含みます。当店の行っている工事を箇条書きにすると、50項目以上の工事内容になります。
つまり、お客様がイメージされるよりも「何でも出来る」ということです。
しかし、初めて工事をする方にとってはそんなことは全くわかりません。
「これはハウスメーカーに頼んだ方がいいのだろうか?」
「カーポートはホームセンターで買ったほうがいいのかしら…?」
と、いちいち悩んでしまうことになるのです。
このように、外構工事というのは初めて行う方にとっては非常に分かりにくく、複雑な商品です。「やって良かった」という結果よりも、「やらなきゃ良かった…」ということになりやすい、厄介な商品だとも言えます。
そのため、当店を含め「エクステリア工事だけを行う専門の店」が全国に数多く存在しています。では、佐々木さんはハウスメーカーではなくエクステリア工事専門店に頼めば良かったのでしょうか?
もちろん話はそんなに単純ではありません。
まずは、「エクステリア工事専門店の実態」をご紹介しましょう。
エクステリア工事専門店の90%以上は
、実はハウスメーカーの下請け会社。
実は「〜ガーデン」「〜エクステリア」という会社のほとんどは、ハウスメーカーの下請け工事専門店です。(※当社を含め、ハウスメーカーの下請け工事を一切行っていない専門店は全国で数社しかありません。)
専門店は専門店でも、「下請け工事専門店」なのです。そんな「名ばかり専門店」では、このように仕事が行われています。
- ● 30代後半の営業兼設計士
- ● 会社に入社して10年弱
- ● 帰りはいつも夜11時過ぎ
- ● 土日はお客様との打ち合わせで終日ビッシリ
- ● 月の休日は3日程。
あまりに忙しそうなので、「一体、どれだけのお客さんを抱えているんですか?」と聞いてみました。
毎月1人で50件!信じられない数です。単純に1日2件は作らないと間に合いません。
「プラン作成・見積もり無料!!」とカタログやホームページで宣伝していますから、冷やかしの人も、予算がなくて本当は工事が出来ない人も、「とりあえず一度頼んでみるか・・・」と、プラン依頼がどんどん舞い込んできます。しかし、実際にそのプランを描いているプランナーの負担は相当なものです。
とにかく「数」をこなす必要があるので、その分一つ一つの仕事のクオリティは下がります。そしてプラン依頼が増えれば増えるほど、1人のお客様に割ける時間がどんどん少なくなっていきます。
それでも会社から「売り上げ」を求められるプランナーは、すさまじい忙しさの中で必死に働いています。
しかしエクステリアのプランニングでは、手を抜けるところが実はあまりありません。それぞれ敷地も予算も条件がまるで違うため、住宅の間取り作成のようにかんたんに使い回すことが難しいのです。
この状態で、果たして“いい仕事”が出来るでしょうか?
時間をかけて考えたプランと完成写真も見せてもらいました。かなりいい出来栄えです。
オリジナリティもあるし、センスもよく、家との調和もとれています。しっかりと時間をかけてプランを考えれば、かなりレベルの高いものは作れるのです。
忙し過ぎて本来の力をほとんど
発揮出来ていない、ということなのです。
このような「下請け工事の専門店」が増える中、
癒樹工房では全く違ったやり方で仕事をしています。